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三菱マテリアルの森

社有林の持続可能な管理運営に向けて

持続可能な森林経営の基本姿勢

当社は、北海道を中心に全国で1.4万haもの森林を保有する、日本国内有数の大規模森林所有者です。元々は自社の鉱山や炭鉱の坑道を支える坑木を供給するために森林を保有していましたが、国内に鉱山や炭鉱がなくなったことから、森林に求められる役割、期待も大きく変化してきました。
現在は、再生可能資源としての木材の生産に加え、市民のレクリエーションの場の提供、CO₂固定による地球温暖化の防止、そして生物多様性の保全といった、森林の生態系サービスを高度に発揮させることを目標に森林管理を行っています。一口に社有林といっても、区域ごとの立地、環境条件はさまざまであり、求められる森林の機能も区域ごとに変わってくるため、当社の森林管理では、水土・生態系保全区域、保健文化利用区域、天然生林択伐利用区域、資源循環利用区域といった4つの区域区分(ゾーニング)を社有林にあてはめ、それぞれの区域で高めるべき機能とその管理方法を明確化させています。そうしたきめ細かな森林管理を地道に実行に移しながら、「三菱マテリアルの森が日本の森をリードする」をスローガンとして、機能豊かな美しい森林を追求します。
持続可能な森林経営への取り組みに対する第三者評価として、2012年10月1日に北海道の早来山林についてSGEC森林認証を取得しました。その後、SGECが国際的な森林認証制度であるPEFCとの相互承認への移行手続きのため認証基準を改正・施行したことを受け、2015年9月1日には早来山林を含む北海道内の9山林について、SGECの新基準による森林認証を一括取得しました。

SGEC

社有林の区域区分(ゾーニング)と管理方針

区域 内容
水土・生態系保全区域 水辺林等の天然生林を維持、人工林であれば天然生林へ転換を図る
保健文化利用区域 見本林の設置、森林散策、森林レクリエーション施設設置等
天然生林択伐利用区域 成長量を超えない範囲で天然生林から抜き伐りし、持続的に有用広葉樹等を生産
資源循環利用区域 針葉樹等の人工林において、持続的に木材等を生産

三菱マテリアル社有林DATA

全国31ヵ所
総面積 14,513ha
SGEC認証取得面積 11,541ha ※北海道内の9山林
天然林面積 6,976ha
人工林面積 7,467ha

早来山林早来山林
水土・生態系保全区域として残した天然生林(自然に発芽した樹木でできた林)、資源循環利用区域として効率的な木材生産を図るカラマツの造林地(人の手で植えられた苗木でできた林)が、適切なゾーニングに基づき、モザイク状に配置されています。

当社社有林の分布と面積[photo]

社有林がもたらす価値:循環型社会への貢献、地域社会への貢献、低炭素社会への貢献、生物多様性の保全

1. 循環型社会への貢献
〜再生可能資源である「木材」を社会に供給〜

木材は優秀な再生可能資源のひとつです。資源循環利用区域や天然生林択伐利用区域を中心に年間約1万㎥前後の木材を生産し、建築用材から木質バイオマス燃料など、あらゆる原料として社会に供給し、循環型社会の構築に寄与しています。
木材の供給を持続可能なものとするために、ゾーニング毎に定められた管理方針に従って、的確な森林資源の維持、更新を行っています。資源循環利用区域のうち、人工林施業を行う区域では、伐っては植え、育てるという循環を維持し、スギやカラマツなどの針葉樹材の持続可能な安定供給を実現しています。また、天然生林択伐利用区域では、森林の成長量を超えない範囲での間伐や択伐(一部の木を選んで収穫すること)と、適切な天然更新(自然に落下した種子から稚樹が芽生えること)の促進により、成長力旺盛で健全な森林の状態を維持し、広葉樹材の持続可能な供給を目指しています。天然生林は人工林に比べ、様々な樹種が混在しているため、その取扱いに、非常に多くの知識や技術が必要となります。そのため、当社では、そうした天然生林施業に関する知見が豊富なスイスの森林管理者(フォレスター)を招聘するなどし、知識力や技術力の研鑽に努めています。
国内の天然生林は、戦後に多くが人工林に置き換えられてしまったため、主に天然生林で育つ広葉樹資源の枯渇が慢性化しています。そのため、特に広葉樹材を材料として用いることが多い家具は、原料の多くを外国産の木材に頼らざるを得ない状況が続いてきました。当社では、人工林の一部を再び天然生林へと誘導し、広葉樹資源の回復に努めているほか、国産広葉樹材の循環利用を推進するため、社有林から産出した広葉樹材を、本社食堂テーブルなどのオフィス家具として活用するモデルプロジェクトを推進しています。

間伐材を社会に供給間伐材を社会に供給

スイスの森林管理者を招聘した森づくり研修スイスの森林管理者を招聘した森づくり研修

新本社ビルや札幌オフィス内の家具類に社有林産木材を活用

2019年3月、本社オフィスが移転したことに伴い、新本社及び森林管理部署のある札幌オフィスのテーブル等に社有林産広葉樹材を活用して作成したものを導入し、まずは自社内で社有林産材の循環利用モデルを実現しています。

社有林産の広葉樹材を活用したオフィス家具

新本社食堂のビッグテーブル新本社食堂のビッグテーブル

「繋がるオフィス」を象徴する中階段「繋がるオフィス」を象徴する中階段

札幌オフィス内の執務デスク札幌オフィス内の執務デスク

2. 地域社会への貢献
〜地域の方が安心でき、豊かな自然と触れ合える森に〜

社有林は会社の資産であると同時に、その地域を形成する重要な環境要素のひとつでもあります。適切に森林を管理することで、水源涵養機能、土砂流出防止機能、レクリエーション機能等の生態系サービスの質を高めることを通じ、地域社会に貢献しています。
また、都市近郊に位置する社有林は、地域の皆様に自然環境を身近に楽しんでいただける「環境林」として位置付け、その一部を開放しています。札幌市手稲区に所在する手稲山林は、市中心部からの交通アクセスが良好な場所にありながら、豊かな森林に恵まれていることから、札幌市に対して札幌市市民の森、自然歩道、青少年キャンプ場といった用途で一部を提供しています。また、地元NPO団体が主催する自然体験活動や、地元小学校のスキー学習の場、大学等の研究機関の研究フィールド等としてもご利用いただいています。こうした地域の皆様に、より有意義に社有林を活用していただけるよう、それぞれの用途に適した環境に維持することも大切です。明るい森とするための間伐や、危険木の除去、遊歩道の整備等も積極的に行っています。
社有林を地域の方に一方的に利用してもらうだけでなく、植樹祭や育樹祭をはじめとする環境イベントを開催し、地域の皆様に生物多様性をはじめとする森の大切さ、楽しさを知ってもらうなど、積極的な地域への働きかけも推進しています。また、2016年に台風被害に遭った北海道森町町有林の復旧整備に取り組んだり、2018年に北海道胆振東部地震で被災した厚真町の保育園には、社有林の木を活用して製作したクリスマスツリーを贈る等の活動を継続しています。
今後も、こうした積極的な取り組みを通じて地域社会に貢献し、地域の中に三菱マテリアルの森がより一層価値あるものとして根付くよう努力していきます。

社有林で環境イベントを開催(樹名板の製作)社有林で環境イベントを開催(樹名板の製作)

胆振東部地震で被災した厚真町保育園にクリスマスツリーを寄贈胆振東部地震で被災した厚真町保育園にクリスマスツリーを寄贈

3. 低炭素社会への貢献
〜CO2の固定〜

森林の持つ重要な生態系サービスのひとつにCO2の固定機能があります。当社は、日本国内有数の大規模森林所有者として、必要な森林整備を着実に推進し、森林の有するCO2の固定機能を最大限に高めることを通じて、地球温暖化の防止に貢献しており、社有林のCO2固定量はおよそ5.4万t/年(国民約2万6千人分)と試算されます。
樹木のCO2固定能力は、若齢から中齢期にかけてピークを迎え、中齢期を過ぎると徐々に落ちていきます。そこで、適切なタイミングで樹木の収穫を行い、新規植栽や天然更新により再び森林を育てることで、森林のCO2固定能力を長期的に高い水準で維持するよう努めています。
森林整備により発生する間伐材も、利用可能な木材は林内に放置せず、積極的な活用を通じてCO2の固定に努めています。また、特に建築材や家具材のように長期にわたって使用される優良大径材の生産を第一目標としており、効果的なCO2固定に努めています。

※ 試算値の求め方: 成長量(m3)×材容積重(t/m3)×炭素換算率×樹幹に対する木全体比×二酸化炭素分子量/炭素分子量

カラマツ林カラマツ林

樹齢と炭素吸収・排出量との関係図* 独立行政法人森林総合研究所資料を一部加工して引用

4. 生物多様性の保全
〜より多くの生物が生息できる環境を維持するために〜

社有林は多様な生物のすみかとして非常に重要であるため、木材生産等のさまざまな活動が生物の生息環境に悪影響を及ぼさぬよう細心の注意を払っています。
生物の移動経路である尾根林や河畔林などの「緑の回廊」は、特に、野生動物の生息地の拡大や相互交流にとって非常に重要な森林であるため、原則皆伐(樹木を全て伐ること)を禁止しています。木材生産を積極的に行う人工林でも、大面積での皆伐は生物多様性を低下させる恐れがあるため、皆伐実施の際は、小面積かつ分散させるようにしています。また、現状が人工林であっても、効率的な人工林経営が難しいと判断される区域は、将来的に皆伐せず、より生物多様性が豊かな天然生林へと誘導していくことを目指しています。その他にも、伐採後に完全な裸地をつくらない「複層林施業」や針葉樹林に積極的に広葉樹を取り込むことで林内の構造を多様化させる「針広混交林施業」を一部で導入することにより、生物多様性の保全に繋がる森林整備方法も試行しています。このような様々な森林タイプを山林内に配置することで、山林全体としての環境の多様性を向上させ、生物他多様性の保全に貢献しています。
また、動植物のモニタリング活動も積極的に実施しています。日常的に社有林を巡視する際に見かける動植物を記録するほか、山林内に多数の定点モニタリング地点を設置して、定期的に植物や動物の生息状況を把握しており、森林整備による改善効果、或いは悪影響の有無を確認しています。また、特に伐採を伴う森林整備を行う際には、伐採前後で動植物に悪影響が生じていないことを確認するため、別途モニタリング調査を行っています。伐採前のモニタリングにより、事前に希少動植物が生息していることが判明した場合には、影響を与えない作業時季や方法に切り替えたり、計画の延期などを検討します。
生息を確認した希少動植物種(環境省や北海道が定めるレッドリストにある上位危惧種)は、「三菱マテリアル社有林希少動植物レッドリスト」として取りまとめ、林内へ立ち入る関係者を対象に定期的に研修会を設け、生物多様性の保全に努めるよう注意喚起をしています。

日常モニタリング活動日常モニタリング活動

動物撮影用定点カメラ動物撮影用定点カメラ

エゾクロテンエゾクロテン

クマゲラクマゲラ

サクラマスサクラマス

クリンソウクリンソウ

カタクリカタクリ

生物多様性の維持・向上方針

  1. 各個別山林の生物多様性の維持・向上のため、自力または適当機関に依頼し、植生・生息動物の調査を行い、その結果を踏まえ、個別の社有林管理経営計画書において生物多様性の保全計画を規定する。
  2. 上記植生・生息動物の調査は、皆伐を実施する資源循環利用林を優先する。
  3. 上記植生・生息動物の調査結果は、個別社有林管理経営計画書でのゾーニングにおいて、最優先で考慮する。
  4. レッドデータブックに記載がある動植物については、保護計画を策定する。
  5. 沢地、沼地等の水辺林については、個別社有林管理経営計画書でのゾーニングにおいて全て生物多様性保全区域とし、原則森林施業は行わない。水辺林の保全区域の幅は、地形等を考慮し個別に決定するが、凡そ片側10m程度は確保するものとする。
  6. 天然生林については原則的に水土・生態系保全区域と択伐利用区域にゾーニングする。この天然生林の連続性に配慮した上で、適地のみを針葉樹人工林の資源循環利用区域とする。
  7. 尾根筋の天然生林は、水土・生態系保全区域としてこれを維持する。
  8. 外来種については、カラマツ系を除き一切植栽しない。
  9. 狩猟は社有林内では原則禁止する。また、生物多様性の維持を阻害する林業活動以外の行為は原則行わない。
  10. 野生動植物の採取は、持続可能なレベルを超えず、不適切な活動が防止されるよう努める。

(社有林管理経営計画書より抜粋)

三菱マテリアル株式会社, 株式会社ディ・エフ・エフ