廃棄物の多様化や排出量の増加に伴い、処理困難物の増大や最終処分場の逼迫等の問題に直面している日本において、二次廃棄物を出さない廃棄物の処理・再資源化は重要な課題です。
当社はグループを挙げて環境リサイクル事業を推進しており、非鉄製錬所とセメント工場を有する世界でも稀な企業として、両者を連携させた「製錬・セメント資源化システム」により循環型社会の構築に貢献しています。製錬所とセメント工場がお互いの施設で発生する副産物等を原材料として相互利用することで、最終処分場を必要としないリサイクルを実現しています。更に、製錬所の副産物である銅スラグは、重量コンクリート等の骨材として、津波等災害対策に向けた国土強靭化工事への活用も進めています。
また、E-Scrapや使用済み家電・使用済み自動車のスクラップ、バッテリー等、多様な廃棄物の処理が可能なこのシステムを活かし、災害廃棄物や下水汚泥・廃石膏ボードなどの処理が難しい廃棄物のリサイクルも展開してきました。下水汚泥・廃石膏ボードについてはセメント工場の独自技術でセメント原料として再資源化しており、処理能力の増強を図かりながら使用拡大に取り組んでいます。
当社が独自開発した三菱連続製銅法は、環境負荷が極めて低く、高効率を特徴とする製銅プロセスです。投入した銅精鉱は、樋で連結した3つの炉を経て連続的に粗銅(98.5%)が得られます。設備がコンパクトであり、省エネルギー、低コスト化にも役立っています。
各種原料(廃棄物・副産物含む)は、原料工程で調合され、焼成工程で水硬性の鉱物になるように高温で焼成されます。最高温度(1,450℃)に達して所定の化学反応を終えた後、一気に冷却してクリンカと呼ばれる中間製品をつくります。
* MFC...石灰石の脱炭酸反応を行うため独自開発した三菱式流動仮焼炉
項 目 | 実績値 | |
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使用済み家電製品を埋め立て処分し、天然資源から新しい素材を製造した場合との比較 | CO2排出量削減効果 | 13.7万t |
天然鉱物資源消費量削減効果 | 14.6万t | |
エネルギー使用量削減効果 | 6.6万t | |
埋立処分量削減効果 | 12.3万t |
上表にはフロン※回収による影響は考慮しておらず、回収フロン約571tをCO2削減量として換算すると約140万tとなる。
※エアコン、冷蔵庫、洗濯機の冷媒フロン及び冷蔵庫の断熱材フロン