活動テーマ | 2019年度の活動実績 | 自己 評価 |
2020年度以降の活動目標・予定 |
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自己評価 A:目標達成 B:概ね目標達成 C:目標未達成
当社グループは、行動規範第5章に「生物多様性に配慮して、自然との共生に努めます」と定め、生物多様性への配慮を事業の基本姿勢として社内外に明示しています。また、これを受けて、環境方針では「天然資源の開発はもとより、持続的発展が可能な社会にとって生物多様性が重要な基盤であることを認識し、自然生態系に配慮して、社会や自然と調和した事業活動を行います」としています。
当社グループの事業活動によって生物多様性への影響が特に生じやすいのは、原料の調達先である海外鉱山です。中でも当社が出資(25%以内のマイナー出資)し、調達先としても重要な銅鉱山(カッパーマウンテン〈カナダ〉、エスコンディーダ〈チリ〉、ロス・ペランプレス〈チリ〉)では、いずれも採掘事業の開始前に適正な環境影響評価が実施され、開始後も継続的な環境モニタリングが行われています。開発プロジェクトとして進行中の銅鉱山(サフラナル〈ペルー〉、ナモシ〈フィジー〉)においても、環境影響評価のための基礎調査を行い、生物多様性保全のためのデータを収集しています。当社グループは、こうした取り組みが行われることを、出資者として鉱山を運営する事業主体に確認し、促しています。また、出資を行っていない鉱山からの調達を行う場合にも、「金属事業カンパニーCSR調達基準」に則り、自然保護区域への配慮や生物多様性の保護がなされていることを確認しています。
一方、国内外の石灰石鉱山では、当社グループが直接管理できるため、サイト内の希少植物種の移植や、採掘跡地の植生を回復するための植樹を行っています。また、周辺に生息する動物のための保全対策を行っているケースもあります。
当社グループの製造事業所においても、各サイトの特性に応じて、生物多様性を保全するための取り組みを行っています。例えば、直島製錬所(香川県香川郡直島町)では、山火事によって緑が失われた区域に植林を行う「マテリアルの森」に取り組んできたほか、環境教育・環境学習を目的とした「環の里プロジェクト」の一環としてビオトープの造成やひまわりの栽培と種の活用も行っています。同製錬所では、瀬戸内の自然環境を守るため、所内で発生する排ガス・排水の排出基準を国が定める基準よりも厳しく設定し、処理を徹底しています。
当社は、日本各地に1.4万haの森林を保有しており、そこに生息する動植物の生息環境に配慮する森林経営手法を実践しています。動植物のモニタリング活動や、生息を確認した希少種のレッドリスト化も行っています。生物多様性にも配慮した持続可能な森林経営に関する認証を、北海道内の9山林で取得済みです。
今後も、当社グループの事業活動と生物多様性との接点に注意を向け、広い視野から保全に取り組んでいきます。
当社は、カナダ・ブリティッシュコロンビア州に位置するカッパーマウンテン鉱山に出資しており、生物多様性に配慮した企業経営に取り組んでいます。同鉱山では、同州の水質ガイドラインに則して鉱山の河川下流での水質モニタリングを行うとともに、生態系への影響を把握するために魚類の生育調査を継続的に実施しています。操業開始後も継続的な環境モニタリングが行われ、閉山計画も整備されています。
魚類生育調査の様子
ペルー南部に位置するサフラナル開発プロジェクトでは、EIA※取得のための環境基礎調査を実施しています。同時に、開発した際に想定される環境への影響を最小にすべく調査解析を行っており、動植物の生態系に影響を及ぼす可能性がある場合は、新たな生息域の確保等を検討しています。
※ Environmental Impact Assessment (環境影響評価)
探鉱試錐調査
河川の水質調査
アメリカ・カリフォルニア州に位置するクッシェンベリー鉱山では、米国三菱セメント社※が石灰石を採掘し、鉱山の麓でセメントを製造しています。地域のカレッジ専門家の協力を得て、開発が終了した鉱区の25千m2を超える範囲で植樹活動を進め、現在、植えつけた植物のおよそ9割が生存しています。また、自然保護当局と協力して貴重な野生動物の保護活動を行っており※、鉱山の後背山地に生息するビッグホーンシープの保護のため、操業当時より給水所を設置しているほか、GPSによる生態調査のための資金協力も行っています。
※ 米国三菱セメント社は、地元のビッグホーンシップ保護組合に加入しています。
ビックホーンシープ
当社は、岩手県八幡平市安比高原の西方にて2015年に三菱ガス化学(株)と共同で安比地熱(株)を設立し、更に2018年に電源開発(株)が加わり3社で事業化を推進し、2024年に14,900kWの地熱発電所運転開始を目指しています。安比地熱(株)は、2015年に環境影響評価(環境アセスメント)の手続きを開始し、安比地熱発電所の設置による周辺の環境に及ぼす影響について調査、予測及び評価を行いました。2018年1月に経済産業大臣より環境影響評価書に対する確定通知を受領し、2019年8月に建設工事を開始しています。
当社は、秋田県北秋田市米代川水系阿仁川支川小又川において、森吉ダム直下に発電所を保有していますが、その発電後の放流水を活用する新規水力発電所となる「小又川新発電所(出力10,326kW)」の建設工事を2019年5月に着工しました。新発電所の建設計画においては、周囲の環境に与える影響について自主環境アセスメントを行うとともに、周辺の河川環境保全のため新たに河川に適した正常流量の放流を計画しています。また、建設工事に際しては、再生可能エネルギーである既存水力発電所で発電された電力を使用して導水路トンネル(TBM工法)工事を実施し、建設予定地で伐採した樹木は再資源化を行う等、環境に配慮しています。
同社では環境保護や生物多様性に関する活動を更に発展させるため、2018年からタマンサファリ・インドネシアの希少動物保護プログラムに協賛しています。
このプログラムは、IUCN(国際自然保護連合)によって絶滅危惧種に指定されている生物を繁殖させ、野性に放し、種を持続可能なものにすることを目的としたもので、同社では、ジャワ島の固有種であるジャワクマタカの保護に参画しています。
ジャワクマタカは、インドネシアの国章(ガルーダ・パンチャシラ)の神鳥「ガルーダ」と特徴を同じくしていることから「国鳥」に指定されていますが、近年の熱帯雨林の破壊や密猟のため個体数の減少が懸念されています。同社では、このプログラムを通じて、国の象徴でもあるジャワクマタカの繁殖だけではなく、将来を担う子供たちへの教育活動やジャワクマタカの生態研究をサポートすることで、生物多様性の保全に貢献していきたいと考えています。
ジャワクマタカ
写真提供:タマンサファリ・インドネシア