Our Policy and Initiative to Sustainability サステナビリティに関する方針と取り組み

マテリアリティ(重要課題)への取り組み

マテリアリティ(重要課題)への取り組み

マテリアリティ(重要課題)の特定と見直し

当社グループは、社会全体の持続可能性(サステナビリティ)が企業活動の将来に重大な影響を与えるとの認識に立ちながら、経営において重要度の高い課題を特定しています。特定したマテリアリティ(重要課題)は、事業活動に活かすとともに、取り組みとその成果をサステナビリティレポートで開示しています。
当社グループのマテリアリティは、持続可能性報告の国際ガイドラインであるGRIガイドラインのフレームワークをベースにマテリアリティアセスメントを実施し、2007年度に9項目のマテリアリティを特定、2015年度には7項目に再編しました。その後の外部環境変化等を踏まえ、2020年3月に公表した中期経営戦略(22中経)では、10項目に更新しました。
また、2023年2月に公表した中期経営戦略(中経2030)において、以下の選定プロセスに沿って、さまざまな観点から課題要素を抽出し、それぞれのステークホルダーにとっての重要度と当社グループの「私たちの目指す姿」に照らした重要度の2軸で整理し、戦略経営会議や取締役会において重要度の議論を重ね、優先順位付けを行いました。その結果、特に重要度の高いマテリアリティとして、4項目の重点マテリアリティを含む10項目のマテリアリティを設定しました。

選定プロセス
STEP1.
課題の把握
2015年にGRI指標、OECDガイドライン、SRI/ESG設問項目等を踏まえてESG・サステナビリティ視点から洗い出した課題要素に対して、最新の社会・環境・経済動向および当社が関連する市場動向や当社グループの中長期的な企業価値向上への取り組みの観点から社会課題を選定し、国際的なガイドラインや原則も考慮し、課題要素を抽出。
STEP2.
課題の整理、評価
それらの課題要素に加え、2020年度に制定したマテリアリティを含め、多様なステークホルダーそれぞれにおける重要度と、当社グループの「私たちの目指す姿」に照らした重要度の2軸で整理。
全執行役および取締役により整理された課題と、それぞれの課題に対する重要テーマについて、ステークホルダーと当社における重要度の観点で議論、評価。
STEP3.
課題の特定
2軸での重要度が「非常に高い」から「高い」までの課題を優先順位付けし、2020年度に制定したマテリアリティおよび重要テーマを見直し、再定義。
特に重要の高い4項目を「重点マテリアリティ」と設定。
STEP4.
取り組み内容、目標の設定
再定義したマテリアリティおよび重要テーマに対する取り組み内容と目標を設定。
取り組みの進捗状況・実績を定期的に開示。

重点マテリアリティ

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三菱マテリアルグループのマテリアリティ(重要課題)

重要課題 重点テーマ 背景と主要な取り組み
循環型社会の実現 リサイクル可能な製品の開発・提供 持続可能な未来を築くには、循環型社会を実現することが必要不可欠です。当社グループでは、製錬事業におけるE-Scrap類の処理拡大によるリサイクル率アップ、加工事業におけるグローバルでの使用済み超硬工具の回収とリサイクル処理能力の確保・リサイクル協業の実現に取り組んでいるほか、家電や自動車のリサイクル、食品廃棄物やごみ焼却灰の処理なども手掛けています。また、電子材料事業において、環境負荷低減に貢献する製品の開発と拡販、銅加工事業の製造工程で発生する純銅・合金屑のリサイクル処理量増加に向けた検討を目指すほか、銅鉱床に含まれる希少資源の確保・回収に向けた技術開発の推進等を行っています。今後も処理技術の開発・高度化に注力し、新たなリサイクル対象の開拓や広範囲なリサイクル・ネットワークの構築、リサイクルしやすい製品の供給増への取り組みを推進し、進化するグローバルな資源環境において、ハード・ソフト両面で中心的役割を担います。
高度なリサイクル技術による廃棄物の再資源化
地球環境への貢献 脱炭素への取り組み 持続可能な社会を実現するためには、企業における「脱炭素社会に向けた取り組み」や「環境負荷低減・環境汚染防止への対応」は欠かせません。当社グループは、地熱・水力などの再生可能エネルギーの開発・利用や各工場での省エネルギー活動を推進するとともに、環境規制への的確な対応を図りながら環境保全に努め、資源の有効利用とその再資源化に取り組んでいます。
「脱炭素社会に向けた取り組み」では、地熱発電等の再生可能エネルギー開発技術の高度化と新規地点開拓による利用拡大、風力発電への新規参入やバイオガス事業の安定化、燃料転換等の技術改善、CO2排出量削減やCO2の回収・貯留のための技術開発等の設備・プロセスへのGHG削減投資による環境負荷低減を行うほか、環境配慮型技術製品の開発等にも積極的に取り組んでいます。加えて、気候変動問題への対応に向けた取り組みにも積極的に参画するほか、自社以外のサプライチェーン全体を含めたGHG排出削減にも企業との連携も強化しています。
「環境負荷低減・環境汚染防止への対応」では、休廃止中の非鉄金属鉱山における設備的・管理的施策の推進により環境への影響を最小限にする取り組みを行うほか、森林公益的機能向上や木材資源や地域レクリエーション等にも貢献する森林資源の有効活用の観点から、広大な社有林の整備に努めています。今後は、事業所における敷地外漏えい事故事案の情報集約・傾向分析や電子マニフェストの活用による当社直轄拠点での排出量の集計・解析情報集計、プラスチック資源循環促進法に基づく当社目標の設定を行います。
再生可能エネルギーの開発・利用促進
環境負荷低減と環境汚染防止
持続可能なサプライチェーンマネジメント 原材料の調達多様化 新型コロナウイルス感染症の拡大やロシア・ウクライナ情勢をはじめとした国際関係の不透明さから、安定的なサプライチェーンはますます重要なものとなりつつあります。当社グループは、国内および海外展開を加速し、E-Scrap、銅スクラップ、家電・自動車リサイクルに注力するほか、継続的な鉱山投資による権益の獲得と銅精鉱の安定確保、銅鉱山でのSX-EWによる同供給量の拡大、電気銅生産能力の拡大、資源循環の推進に向けたネットワークの強化を行います。
銅加工事業では、国内でNo.1の伸銅品メーカーとしての地位を確立するため、xEV用端子・バスパーの販売拡大を目指すとともに、また、電子材料分野では半導体材料周辺での新事業や新製品の開発を加速させるため、研究開発体制を整えていきます。
加えて、企業には、バリューチェーンにおいて、自らの事業活動による社会・環境への影響を把握し、十分な配慮を行うことが強く求められています。当社グループは、サプライヤーセルフチェックによる原料・製品調達取引先のESG・人権等に対する取り組みの確認を把握し、調達業務に関係する法令・コンプライアンスの徹底やサプライチェーン上のリスク低減に取り組んでいます。また、社会・環境配慮を促す調達方針やCSR投融資基準・調達基準、グローバルなバリューチェーンを通じて、設計・開発の段階から製造・出荷に至るまで、製品の安全性・信頼性を確保するための取り組みを行っています。
Solvent extraction and electrowinning:溶媒抽出と電解採取の2段階からなる湿式製錬プロセス
銅を中心とした非鉄金属素材の提供
付加価値の高い機能材料・製品の提供
人権の尊重 個の尊厳と基本的人権の尊重 当社グループは、人権をめぐる国際的な要請の高まりを受け、バリューチェーンにおける「人権への取り組み」を強化しています。具体的には、方針によるコミットメントと人権デューデリジェンスの実施により、サプライチェーンでの人権尊重を確保しています。また、責任ある鉱物調達認証の維持と必要な救済措置も実施しています。
加えて企業には、バリューチェーンにおいて、自らの事業活動による社会・環境への影響を把握し、十分な配慮を行うことが強く求められています。当社グループは、原料・製品調達取引先の実態を把握し、人権方針や社会・環境配慮を促すCSR投融資基準・調達基準を用い、グローバルなバリューチェーンを通じて人権侵害等に加担することのないよう取り組んでいます。
バリューチェーンにおける人権の配慮
労働安全衛生 労働災害の未然防止 従業員の安全と健康の確保は、当社グループとして取り組むべき重要課題のひとつです。当社グループは、「安全と健康をすべてに優先」することを最高規範である行動規範に定めており、過去に発生した重大事故の教訓も踏まえて、当社グループ全体で安全衛生活動を推進しています。具体的には、休業4日以上災害ゼロの1年間継続を目標に掲げ、火災爆発等事故の撲滅、個々人の意識・能力の向上、手順・プロセスの改善、リスクアセスメントを通じた設備の安全化等を行っているほか、健康経営の推進強化、Well-being推進を通じた働きがいの醸成、エンゲージメントの継続的向上等の取り組みを行っています。
心身ともに働きやすい職場づくり
ガバナンスの維持向上 コンプライアンスの徹底 企業には、お客さまや地域社会、取引先、株主、従業員といったさまざまなステークホルダーからの要請を踏まえ、透明・公正かつ迅速な意思決定と適切な監査を行う仕組みの維持・改善が求められています。当社グループでは、取締役の実効性評価等を通じてコーポレート・ガバナンス体制の継続的な改善により、迅速で適正な意思決定を実現するとともに、ガバナンスレビュー・ガバナンス情報共有会議の実施や、グループリスクマネジメントによるリスク評価と対応、リスクベース監査の導入等を進め、内部監査機能の充実を図っていきます。また、コンプライアンス違反重要案件撲滅に向け、コンプライアンス意識の向上に向けた各種施策の実施と海外コンプライアンスの強化を行います。さらに、企業経営の根幹であるコンプライアンスの徹底や事業全般にわたるリスクマネジメント活動の展開、災害発生時等に備えた事業継続計画(BCP)の整備や、防災保安等のリスク管理体制の強化、情報セキュリティ強化のためのIT投資を行います。
グループガバナンスによる内部統制の拡充
コーポレートガバナンスの強化
人的資本の確保と活用 人材確保と育成 当社グループが持続的発展を遂げるうえで、多様な人材が能力を最大限発揮できる環境の整備は欠かせません。事業競争力を強化するため、事業成長を実現する人材(経営リーダー候補)や専門的なスキルを有する人材の育成をはじめ、国内外での人材の育成と活用、女性の活躍推進、ワーク・ライフ・バランスの推進、福利厚生の充実等に積極的に取り組んでいます。また、多様な個性を認め合い、異なる意見から新たな価値を創出する意識・風土を醸成し、すべての従業員の基本的人権を尊重し、明るく安全で快適な職場環境をつくる取り組みも継続的に行っています。こうした取り組みは、労使のパートナーシップに基づき、共有の認識のもと進めています。
ダイバーシティ&インクルージョン
柔軟な働き方の推進
ステークホルダーコミュニケーション ステークホルダーとのエンゲージメント サステナビリティ活動を推進するうえで、グローバルな視点でステークホルダーの皆さまの期待・要請、トレンドを把握し経営に活かしながら、その関心の高い企業情報を開示することが重要です。ステークホルダーの期待・要請も、「利益優先」から「社会的価値への対応」が企業価値につながるという考え方に変わりつつあります。
当社は、統合報告書、サステナビリティレポート、WEBや広報誌等を通じて質の高い情報開示に努めるとともに、さまざまなコミュニケーション活動を通じて、ステークホルダーの皆さまとの対話や協働を推進し、国際社会の一員としてそれぞれの地域に貢献し、社会との共存共栄を図ります。
また、「私たちの目指す姿」の認知・理解浸透を活動の主軸に据え、既存施策の枠組みを最大限に活用しながらグループへ複合的に展開するほか、自由闊達な組織風土醸成のためのコミュニケーション施策展開を進めています。また、「より良い製品とサービス」を提供するために、品質マネジメント活動の一環として「お客さま満足度調査」を実施し、クレーム情報分析を行うほか、加工事業における切削工具を正しく使用していただくためのさまざまな技術サポート等の取り組みも推進していきます。
顧客満足の向上
地域社会との対話・共生
DXの深化 業務プロセスの変革 企業はビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革する必要があります。またあわせて、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競走上の優位性を確立することも必要です。当社ではDX戦略により、ビジネス付加価値向上、オペレーション競争力向上および経営スピード向上の3本柱を強化することにより、マーケットインテリジェンスに基づいた、より顧客価値を高めるサービスの提供、高付加価値な製品・サービスの提供を進めています。
具体的には、ITツールやスマートフォンの活用によるコミュニケーション改革、IoTやAIなどのデジタル技術を活用した製販連携の強化、品質やものづくり力の向上、製錬・資源循環事業におけるE-Scrapビジネスプラットフォーム(MEX)の機能強化、銅加工事業における原価管理の高度化、加工事業におけるDXを活用した切削加工ソリューションの深化等に取り組んでいます。これらの取り組みにより、顧客価値の向上と持続的な競争力の確立を目指しています。
オペレーション強化
新たな付加価値の獲得
新しい価値創造への取り組み イノベーションの創出 当社グループの中長期的な成長の実現と社会課題の解決をもたらすためには、企業における経済的価値と社会的価値の創出が求められています。
具体的には、新規事業創出プロセスを構築・実行し、テーマ数の増加、事業化の推進、新規事業の成長に取り組むことで、継続的な事業創造を実現しています。また、レアアースやレアメタルのリサイクル事業を創出することも重要な取り組みとしています。さらに、ものづくり力の強化を基本方針とし、体質の強化、基盤の強化、技術の開発・改善をPDCAサイクルで進めています。これにより、ものづくり力を強め持続的な成長を実現しています。
社会的価値の探求と創出
ものづくりの追求
三菱マテリアル株式会社