Our Policy and Initiative to Sustainability サステナビリティに関する方針と取り組み

三菱マテリアルグループの事業活動とSDGs

B3_三菱マテリアルグループの事業活動とSDGs

国際社会の普遍的な長期目標として

2015年9月、国連総会において、より良い未来を実現するために、極度の貧困、不平等・不正義をなくし、地球環境を守るための計画として「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が全会一致で採択されました。この中で掲げられた、2030年までに実現すべき世界の姿が、「持続可能な開発目標(SDGs)」です。SDGsは、国際社会が2001年から15年にわたり取り組んだ「ミレニアム開発目標(MDGs)」の後継であり、すべての国の普遍的な目標として位置付けられています。
また、SDGsは、各国政府だけでなく、企業や市民社会による全世界的な行動も求めています。企業のSDGs活用に関する解説書としてGRI(Global Reporting Initiative)、国連グローバル・コンパクト、WBCSD(持続可能な開発のための世界経済人会議)が共同で発行した「SDGコンパス」は、次のように説明しています。
「SDGsは、その前身となるミレニアム開発目標(MDGs)と異なり、すべての企業に対し、明確に、その創造性およびイノベーションを活用して、持続的発展のための課題を解決するよう求めている。SDGsは、すべての政府によって合意されたものだが、その成功は、すべての主体による行動や協働に大きく依存している。
SDGsは、持続可能な開発に向け、世界で最も重大な課題に取り組むために、必要な解決策や技術を、企業が主導して開発し適用する、そういう機会を提供している。」

このページの先頭へ戻る

当社グループの事業活動とSDGs

事業競争力の徹底追求と、新製品・新事業の創出の両面において、SDGsの視点を戦略に組み込み、多様な外部パートナーと積極的に連携しながら、社会的価値と経済的価値の両立を図ります。
特に、SDGsが示す17の目標(ゴール)のうち、目標7(エネルギー)、目標8(成長、雇用)、目標9(イノベーション)、目標11(都市)、目標12(生産・消費)、目標13(気候変動)は、当社グループとして重点的な取り組みを進めている領域です。
国連によるSDGsの採択は、当社グループにとって、これまで進んできた事業の方向性の正しさを再確認する契機になるとともに、今後取り組むべき課題や進むべき道筋について長期的なリスクと機会を考察する重要な機会となりました。
当社グループは、「人と社会と地球のために」の企業理念のもと、「循環をデザインする」というビジョンを掲げています。そして、「持続可能な社会(豊かな社会、循環型社会、脱炭素社会)を実現する」ことをミッションとし、その実現に取り組んでいきます。

SDGs

このページの先頭へ戻る

SDGs 2022年度の進展

生物多様性のための30by30アライアンスへの参加について
~社有林を活用し、生物多様性保全に貢献します~
(目標14)(目標15)
(2022年4月8日公表)

当社は、環境省が主導する「生物多様性のための30by30(サーティ・バイ・サーティ)アライアンス」に、参加企業として登録されました。
本アライアンスは2030年までに生物多様性の損失を食い止め、回復させる(Nature Positive)国際目標の達成に向けて設立された有志連合です。
日本ではこの目標達成に向け、2030年までに自国の陸域・海域の少なくとも30%を保全・保護すること(30by30)の達成を目指し、国立公園等の保護地域の拡充に加え、保護地域以外の企業林等で生物多様性保全に資する地域をOECM(Other Effective area-based Conservation Measures)として設定することとしています。

当社は、日本各地に1.4万haの社有林を保有しており、そこに生息する動植物の生息環境に配慮する森林経営管理を実践しています。動植物のモニタリング活動や、生息を確認した希少種のレッドリスト化も行っています。生物多様性にも配慮した持続可能な森林経営に関するSGEC認証を、北海道内の9つの山林で取得済みです。
当社グループでは、アライアンスの設立趣旨に賛同し、社有林などでの将来的なOECMの取得を目指すことで、持続可能な社会の実現に貢献していきます。

ロゴ

北海道函館市恵山地域における新規地熱開発へ参画
~当社初、北海道地区での地熱発電開発へ~
(目標7)(目標13)
(2022年6月6日公表)

当社は、(株)レノバ、大和エナジー・インフラ(株)の新たな事業パートナーとして、合同会社はこだて恵山地熱へ出資しました。北海道函館市恵山地域での新規地熱発電所開発を目指して事業開発を進めています。
当社は、長年にわたる炭鉱や金属鉱山の開発・経営を通じて培った豊富な経験と高い技術力を活かし、1974年に大沼地熱発電所(秋田県)の運転を開始して以来、澄川地熱発電所(秋田県、1995年運転開始)、山葵沢地熱発電所(秋田県、2019年運転開始)、安比地熱発電所(岩手県、2024年運転開始予定)の建設・操業に中核として関わっています。

ロゴ掘削調査の様子

<2022年度調査計画概要>

(同)はこだて恵山地熱は将来の地熱発電所開発を目指し、以下のとおり2022年度の地熱資源量調査を行っています。
調査場所:北海道函館市恵山地域
調査内容:大口径調査井掘削調査 (坑井掘削並びに付帯工事)
調査期間:2022年4月~2023年度

  • ※ 本調査は独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の「令和4年度地熱発電の資源量調査事業費助成金交付事業」に採択されています。
三菱マテリアルと東京工業大学
「三菱マテリアル サステナビリティ革新協働研究拠点」を設置
(目標9)(目標12)(目標13)
(2022年9月7日公表)

当社と国立大学法人東京工業大学は、持続可能社会に貢献する革新的な材料およびプロセスに関する研究を行う「三菱マテリアル サステナビリティ革新協働研究拠点」を東京工業大学オープンイノベーション機構の支援のもと設置しました。

本協働研究拠点では、東京工業大学が保有する材料に関する幅広く高度な知見と、当社が蓄積している銅を中心とした非鉄金属に関する材料技術やリサイクルなどのプロセスに関するノウハウを組み合わせて、複合材料や次世代電池、CO2利活用などに関する共同研究を行います。単独の研究では困難であった課題に取り組むことで、持続可能社会に貢献するグリーン・トランスフォーメーション(GX)をキーワードとする革新的な材料およびプロセスなどの創出を目指します。
当社と東京工業大学はこれまでもさまざまな分野において共同研究を進めてきましたが、本協働研究拠点の設置に合わせて、当社は東京工業大学のグリーン・トランスフォーメーション・イニシアティブ(Tokyo Tech GXI)事業に参画し、GX研究を加速させ、社会実装するためのさらなる連携強化を図ります。

  •  グリーン・トランスフォーメーションに向けたオープンイノベーション活動を推進する、令和4年度文部科学省教育研究組織改革分(組織整備)事業。
自社水力発電の再生可能エネルギー由来の電力を自社工場に活用
~再生可能エネルギーの活用でGHG排出量削減の取り組みを加速~
(目標7)(目標13)
(2022年9月13日公表)

当社は、3,835MWh分の大湯発電所由来のトラッキング付きFIT非化石証書※1を調達し、当社の超硬工具製造拠点である筑波製作所・明石製作所で2022年度に使用する電力の一部に適用することで、実質的な再生可能エネルギー電気としました。これにより、当社グループの2022年度の年間GHG排出量の削減量は、CO2換算で約1,575t(2021年度排出係数ベース)を見込んでいます。なお、2023年度以降もこの取り組みは継続して行う予定です。

当社グループは、GHG排出量を2030年度までに45%削減(2020年度比、2013年度比では53%削減に相当)、2045年度までに実質ゼロとするカーボンニュートラルの実現を目指しており、省エネルギーのさらなる推進、燃料転換等による技術改善を進めています。また、再生可能エネルギー由来の電力の導入も順次進める予定としており、2030年度までに当社グループで使用する電力の約60%を切り替える計画です。

当社グループは、2045年度のカーボンニュートラル実現に向け、環境負荷低減を考慮したものづくりを徹底し、温室効果ガス排出量の削減を積極的に進め、脱炭素社会の構築により一層貢献していきます。

図

  • ※1 FIT(再生可能エネルギーの固定買取制度)による再生可能エネルギー電気について、非化石電源から作られた電気であるという「非化石価値」を電気から切り離して証書化したものが「FIT非化石証書」。さらにどこの発電所で発電されたものなのか、属性情報を付与したものが「トラッキング付きFIT非化石証書」。
  • ※2 JEPX(Japan Electric Power Exchange:日本卸電力取引所)
    電力の自由化に伴い設立された、電力の売買を行える国内唯一の卸電力取引市場。
    「非化石証書」はJEPXが主催する取引所で、オークション形式により購入することが可能。
CDP2022 「水セキュリティ」分野において 初の最高位「Aリスト」選出 (目標6)
(2022年12月24日公表)

当社は、国際的な環境情報開示推進NGOであるCDPより、水資源に対する当社グループの取り組みや情報開示などが評価され、「水セキュリティ」の分野において初めて最高評価となる「Aリスト」企業に選定されました。

ロゴ

2000年に英国で設立されたCDPは、企業や自治体を対象とした世界的な環境情報開示システムを運営する国際環境非政府組織です。同団体は世界の主要企業に対する取り組みや情報開示を「気候変動」「水セキュリティ」「森林」の3分野で毎年評価しており、最も優れた企業を「Aリスト」企業として選定しています。

当社グループは、環境方針のひとつとして「水資源の有効利用・保全」を掲げています。国内外の事業所などにおいて冷却水や洗浄水など、事業活動のあらゆる場面で使用する水に対してのリスク低減策を進めています。水資源確保については、水使用量のモニタリング、水の循環利用や水使用量の少ない設備の導入・更新などによる節水に取り組み、洪水対策については建屋・ポンプ・電気設備などの嵩上げや排水ポンプの設置、増水を想定した訓練などを実施しています。また、事業所における水質事故の防止のため、自主管理基準の設定、水異常時に検知できるセンサー・自動排水停止システムの導入などにも取り組んでいます。
これらの活動は統合報告書やサステナビリティレポートなどで定期的に情報開示を行っています。

小又川新発電所の営業運転開始
〜秋田県で69年ぶりとなる新水力発電所が稼働〜
(目標7)(目標13)
(2022年12月23日公表)

当社は、2022年12月より小又川新発電所の営業運転を開始しました。
小又川新発電所は、森吉ダムを中心とした小又川水系の小又川第一、第二および第四発電所※1の効率的運用による電源増加を目的に建設計画された発電所です。これまで未利用エネルギーとして放出されていた水を効率的に取り込み、小又川水系の発電能力は2,860kW、年間発電量は約13,400MWhの増加となります。

小又川新発電所は、森吉ダム直下の小又川第四発電所の放流口から直接取水(取水量13.0m3/s)し、導水路トンネルにより約8.5km下流に水を導き、有効落差約90mを確保して10,326kWの発電をします。発電された電力は、再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)を活用して全量社会に供給します。河川環境を保全しながら、小又川水系の水力を利用した再生可能エネルギーを長期安定的に供給することで、効率的な水資源の活用が実現可能です。

発電所建設にあたっては、既存の水力発電所の電力(再生可能エネルギー)を使用することで、環境影響を最小に抑えました。なお、小又川新発電所操業によるCO2削減量※2はおよそ9,800tとなり、これは40年生のスギ人工林約1,100ha分のCO2吸収量※3に相当します。
当社の水力発電事業は百年を超える歴史があり、再生可能エネルギーのなかでも地域社会に欠かせないベース電源です。今後も、環境にやさしい電源として地域社会に安定した電力を供給し、循環型社会の構築に貢献していきます。

  • ※1 小又川新発電所の竣工に伴い、小又川第一、第二発電所は2022年10月に廃止となりました。
  • ※2 新発電所操業による年間のCO2削減量:「今村・長野(2010) 日本の発電技術のライフサイクルCO2排出評価電力中央研究所報告、研究報告」中に記載のある2009年のデータを用いて、当社で算出。
  • ※3 林野庁ホームページ情報を基に当社で算出。

小又川新発電所 全景小又川新発電所 全景

小又川新発電所 建屋内部(水車、発電機)小又川新発電所 建屋内部(水車、発電機)

国際的イニシアチブScience Based Targets(SBT)認定取得について (目標13)
(2023年3月24日公表)

当社は、パリ協定※1が定める目標に科学的に整合する温室効果ガスの排出削減目標「Science Based Targets(SBT)」を認定する国際機関「SBTイニシアチブ※2」よりSBTの認定を取得しました。

ロゴ

当社グループは「人と社会と地球のために」という企業理念のもと、地球温暖化に関連するリスクと機会への戦略的取り組みについて、全社的な経営戦略と連携して企画・推進しています。2045年度までのカーボンニュートラル実現の目標を掲げ、温室効果ガス(GHG)排出量削減のために製造拠点の省エネや技術改善・設備改善に取り組みつつ、当社が強みを持つ地熱発電などの再生可能エネルギーの開発・利用拡大を進めています。2035年度に自社使用電力の再生可能エネルギー利用率を100%とし、2050年度には当社消費電力に匹敵する再生可能エネルギー発電量の実現を目指しています。

SBT認定を取得したGHG排出削減目標 (2022年4月時点の事業区分に基づき2022年7月に申請)

・Scope1+2の削減目標※3:2020年度基準にて2030年度に42%削減
・Scope3の削減目標※4:カテゴリ1+3+15※5について、2020年度基準にて2030年度に13%削減

なお、現在のGHG削減目標は、2023年7月26日に公表している以下の数値となります。

・Scope1+2の削減目標:2020年度基準にて2030年度に45%以上削減
・Scope3の削減目標:カテゴリ1+3+15について、2020年度基準にて2030年度に22%以上削減

本目標の達成に向け、2030年度までに主に製造拠点の省エネ、設備改善などへ105億円の投資を行い、GHG排出量削減に取り組みます。
さらに、2045年度のカーボンニュートラル実現のため、当社が強みを持つ地熱発電などの再生可能エネルギーの開発、利用拡大を進め、目標値として2035年度に自社使用電力の再生可能エネルギー利用率を100%、そのうちの66%を自社再生可能エネルギー由来電力とすることを定めます。これに伴い、2030年度までに再生可能エネルギー事業へ300億円の投資を行います。
加えて、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に基づくシナリオ分析についても見直しを行い、当社の気候変動に関連するリスクと機会を分析し、当社事業の指標と目標を定めています。

  • ※1 世界の気温上昇を産業革命前より2℃を十分に下回る水準に抑え、また1.5℃に抑えることを目指すもの。
  • ※2 SBTイニシアチブはパリ協定目標達成に向け、企業に対して科学的根拠に基づいたGHGの排出削減目標を設定することを推進している国際的なイニシアチブ。環境情報の開示に関するNGOであるCDP、国連グローバル・コンパクト、WRI(世界資源研究所)、WWF(世界自然保護基金)の4団体が共同で2015年に設立。
  • ※3 Scope1は事業者自らによるGHGの直接排出、Scope2は他社から供給されたエネルギー利用に伴う間接的なGHG排出
  • ※4 Scope1、2を除くサプライチェーン全体のGHG排出。
  • ※5 カテゴリ1:「購入した製品・サービス」、カテゴリ3:「Scope1、2に含まれない燃料およびエネルギー関連活動」、カテゴリ15:「投資」に伴うGHG排出。
三菱マテリアル株式会社