Geopolitical and geoeconomic risks 地政学・地経学リスク

海外事業におけるリスク低減・回避策やBCP策定・定期的な見直し

海外事業におけるリスク低減・回避策やBCP策定・定期的な見直し

金属事業

金属事業カンパニーでは、サステナビリティ課題における地政学・地経学リスク低減について、海外事業の定期的な見直しと原材料の調達ポートフォリオの形成を重点テーマに掲げています。
海外事業の定期的な見直しの取り組みのひとつとして、当社の連結子会社であったインドネシア・カパースメルティング社(英語名 PT.Smelting(PTS社)は、2024年6月30日付で持分法適用関連会社に異動しました。インドネシアにおいては、2009年に施行された新鉱業法により、鉱山会社に鉱物の高付加価値化が義務付けられており、PTS社は、当社との共同出資先であるPT Freeport Indonesia社(PTFI社)が運営するGrasberg鉱山の付属製錬所としての側面が強くなりつつあります。こうした状況を踏まえ、鉱物の高付加価値化の一環として、PTS社の拡張工事をPTFI社の融資により行い、拡張工事完工を条件として融資全額を簿価純資産方式でPTS社の新株に転換(増資)しました。
なお、PTS社は2023年1月より、PTFI社から銅精鉱を購入して製錬を行う買鉱製錬から、PTFI社から銅精鉱の供給を受けて製品を返還する受託製錬へ変更しています。
PTS社の持分法適用関連会社化後も、当社は、20年以上にわたるPTS社の操業経験を活かして、インドネシアの子会社を通じてPTSの操業を担い、かつ、受託製錬によりPTFI社へ返還された電気銅の販売活動にも携わることで、PTS社の事業遂行には、引き続き深く関与していきます。

このページの先頭へ戻る

高機能製品

高機能製品カンパニーの事業継続計画(BCP)は、これまで、地震、風水害、パンデミックなどの特定の事象を対象に策定し、運用してきました(いわゆる「原因事象型BCP」)。
しかし、近年のVUCA(不確実性、複雑性、曖昧性、変動性)とも呼ばれる状況下では、将来予測が困難であることが課題となっています。このため、BCPについても、出社困難、停電、サプライヤーの被災による部品調達不足など、さまざまな事象に対応するオールハザード型へ見直すことが主流となっています。
私たちをとりまく事業環境もますます多様化しており、当カンパニーも「オールハザード型BCP」への転換が必要であると判断しました。緊急時に従業員とその家族の安全を確保するだけではなく、迅速な事業再開・継続を実現し、社会的責任を果たすことで、ステークホルダーとの信頼関係をより強固にすることを目的としています。具体的には、2024年度に銅加工事業、2025年度に電子材料事業のBCPを見直すことで、当社の企業価値向上に努めていきます。

このページの先頭へ戻る

加工事業

超硬工具の安定供給のためには、グローバルサプライチェーンの複線化およびその安定維持が重要です。その一環として、海外生産拠点の製造能力増強を進めており、2023年度は欧州市場へ向けた生産拠点であるスペインのインサート工場を拡張しました。今後も欧米、アジアを中心に投資を含めたさらなる体制強化を進める計画です。 また、リスクに対しては、予期せぬ事態に備えた一定量の在庫を国内外に保有するとともに、災害発生時の減災化や供給体制の早期復旧を含むBCPの整備強化を進めています。さらに、物流システムについても、リアルタイムな物量可視化と適性在庫の管理を実現するデータロケーションシステムを完成させました。これにより、有事の際でも効率的な出荷プロセスを維持し、顧客への製品提供を継続できる体制を整えることができました。
これらの取り組みを通して超硬工具の安定供給を実現するための基盤を一層強化していきます。

スペイン バレンシア超硬工具工場の拡張完工について
    ~欧州における切削工具インサート生産能力を増強~

当社はスペイン、バレンシアにある工場の拡張工事を進め、5月から稼働を開始しました。このたびの拡張完工により、スペイン バレンシア工場におけるインサートの生産能力は従来の2~5倍に増強されます。

写真拡張したインサート製造工場

写真インサート製造工程(イメージ)

スペイン、バレンシアにある超硬工具製造工場は、当社における欧州で唯一の製造拠点です。欧州の自動車や航空機メーカーなどへ、ドリル、エンドミルおよびインサートを提供しています。欧州市場は規模が大きく、今後も航空機市場や東欧などで需要の伸びが見込まれることから、生産能力増強を進めてきました。消費者に近い製造拠点から出荷することで、サプライチェーンを最適化するとともにBCP対応強化も図ります。
なお、このたび拡張したインサート工場では、今後、プレス機、研削加工機および検査のオートメーション化を進めた最新の設備を導入していく予定です。最新の技術を活かし製造現場の改善に努めながら生産能力の向上を目指します。

三菱マテリアル株式会社, MBS, 株式会社ディ・エフ・エフ, 株式会社トランス・アジア, 株式会社アイディアシップ, KPMGあずさサステナビリティ