当社グループでは、ステークホルダーの皆さまとの対話を通じ、当社グループに対する期待や要請を事業戦略や活動に組み込むことが、持続可能な企業経営を進めるうえで重要と考えています。コミュニケーションの機会を充実させながら、ステークホルダーの皆さまの視点をより深く経営に反映することに努めています。
ステークホルダー | 事業との関係 |
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株主・投資家 |
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お客さま |
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従業員 |
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地域社会 |
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お取引先 (調達先) |
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業界団体/経済団体 |
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非営利組織 (教育・研究機関、NGO・NPO) |
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行政 |
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地球環境/将来世代 |
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当社グループは、ステークホルダーの皆さまの指摘や提言に応えることを通じて、サステナブル経営の水準を向上させています。主な期待・要請には、以下のように取り組んでいます。ステークホルダーとの期待・要請を把握するためのコミュニケーション方法については、「ステークホルダーとの関わり」をご参照ください。
主な期待・要請 | 当社グループの対応状況 |
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資源循環への取り組みのさらなる拡大・深化 |
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気候変動に伴うリスク・機会への対応 |
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休廃止鉱山の管理 |
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生物多様性の保全(社有林、鉱山周辺) |
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サプライチェーンでの人権尊重 |
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品質管理 |
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安全で快適な職場環境の構築 |
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人材の育成 |
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多様な人材の活躍推進 |
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情報セキュリティの強化 |
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コーポレート・ガバナンスの進化 |
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受賞者 | 表彰実施団体 ・組織 |
受賞内容 | |
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三菱マテリアル(株) ものづくり・R&D戦略部 開発企画室、 イノベーションセンター |
日本銅学会 | 日本銅学会第57回論文賞 | 極微量の添加元素が大電流用無酸素銅の諸特性に及ぼす効果 |
三菱マテリアル(株) イノベーションセンター |
エレクトロニクス実装学会 | 第32回マイクロエレクトロニクスシンポジウム(MES2022)ベストペーパー賞 | セルフアライメント可能な焼結型接合材料 |
第33回 マイクロエレクトロニクスシンポジウム(MES2023)研究奨励賞 | ナノポーラスCuを用いた次世代接合技術の開発 | ||
日本鉱業協会 | 第74回 日本鉱業協会賞 | パン酵母による金のバイオソープションと新規材料の開発、HydraMist/ICP発光分光分析法による環境規制元素の高感度分析 | |
(公社)日本セラミックス協会 | 第77回日本セラミックス協会 技術奨励賞 | 液相成膜技術の保護膜への応用と複合機能化技術 | |
(公社)日本分析化学会 | 日本分析化学会 有功賞 | 多年にわたる分析実務への従事による功労 | |
(一社)溶接学会 | 溶接学会 「界面接合研究賞」 |
Cu粒子の表面をSn化したコアシェル構造粉末の開発 | |
三菱マテリアル(株) 銅加工事業部営業統括部 圧延営業部 |
富士電機(株)半導体事業本部 | 表彰状 | 銅材逼迫の中、端子ケース用の銅材を円滑に供給し、同社の安定供給に寄与 |
三菱マテリアル(株) 筑波製作所 |
日本機械工具工業会 | 環境大賞 | 環境自主行動指針の目標に対する顕著な成果が認められ・会員の模範となる事業所と認められたもの |
環境調和工具 |
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日刊工業新聞社 | “超”モノづくり部品大賞 | 鋳鉄旋削加工用インサート材種MC5100シリーズが日本のものづくりの競争力や産業・社会の発展に貢献する優れた部品・部材と評価 | |
日本機械工具工業会 | 環境活動賞 | 「圧縮空気供給量の最適化」の取り組みにより、圧気設備にかかる電力量・CO2排出量を削減 | |
Luvata Zhongshan社 | 黄埔区 | 2023年優秀経済貢献賞 | 黄埔区 2023年優秀経済貢献賞 |
2024年「スタープラン」2024年重点企業 | 黄浦区 2024年「スタープラン」2024年重点企業 | ||
中山市 | 2022年製造業デジタルインテリジェント模範ワークショップ | 中山市 2022年製造業デジタルインテリジェント模範ワークショップ | |
2023年税額控除A級納税者 | 2023年税額控除A級納税者 | ||
(株)MOLDINO成田工場 | 千葉県労働基準協会連合会 | 安全管理優良事業場賞 | 成田工場における安全管理体制の確立が評価されたもの |
八幡平グリーンエナジー(株) | 鹿角地区事業主交通安全推進協会、鹿角地区安全運転管理者協会 | 令和5年度無事故・無違反コンクール成績優秀 | 令和5年度無事故・無違反コンクールにおいて成績優秀と認められたもの |
当社は、多種多様なステークホルダーの皆さまとの関わりの中で事業収益を得て、経済的付加価値を生み出しており、その付加価値をステークホルダーへ適切に配分することが、社会的責任を果たすうえで重要であると考えています。
2023年度の当社単体における収入は12,329億円でした。ここには、製品・サービスの販売による売上と、投資配当を含む営業外収益、そして特別利益が含まれています。一方、主にお取引先への支払である事業コストは11,625億円でした。
事業活動を通じて生み出した付加価値は、総収入から事業コストを引いた704億円となりました。
従業員への配分である、法定福利費と退職給付費用を含む人件費は、481億円です。
金融機関等の債権者には、資金借入等の利息として、38億円が配分されています。社会・地域への配分は、政府を通じたものと、自社の社会貢献活動の一環として行ったものとがあります。政府に対しては、会計上の法人税と経費で負担している租税公課の合計で32億円を計上しています。また、寄付金や施設開放、従業員の役務提供等を含む社会貢献活動として2億円を支出しています。
株主(国内外の法人および個人)への配分である支払配当金は、総額で94億円です。
なお、将来に向けた投資や備えに充当する内部留保は、57億円となりました。
分類 | ステークホルダー | 金額(百万円) | 内容/算出方法 |
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収入 | お客さま・お取引先 | 1,232,905 | 売上高・営業外収益・特別利益 |
支出 | お取引先 | 1,162,460 | 事業コスト(売上原価および一般管理費のうち、人件費・租税公課・寄付金を除いた金額) |
従業員 | 48,112 | 人件費(法定福利費、退職給付費用を含む) | |
債権者 | 3,769 | 支払利息 | |
政府 | 3,181 | 税金(法人税、経費として負担している租税公課) | |
社会一般 | 221 | 寄付金等※ | |
株主 | 9,422 | 支払配当金 | |
内部留保 | 5,741 | 当期純利益から支払配当金を差引いた金額 |
当社グループは、海外での事業活動に際し、まず各国の国情や国民性を理解し、企業市民として現地の一員として活動することを重視しています。また、海外事業で得た収益は可能な限り現地に再投資し、事業の成長と地域の持続的な発展に貢献するよう努めています。
退職一時金に係る債務は320億円、確定給付型年金に係る債務は393億円です。このうち756億円(カバー率105.9%)を年金資産として社外の基金に拠出しています。また、24億円を退職給付引当金として費用化処理し、残額▲67億円は未認識債務となっています。退職給付費用の未認識債務については、主として10年にわたる定額法に基づいて費用計上しています。
政府からの補助金や助成金等の受給額は7億円でした。なお、当社および当社グループ会社については、政府による株式保有はありません。
当社では、毎年開催する定時株主総会を、株主の皆さまと当社の経営トップとが直接対話する貴重な機会として捉えています。そのため、株主の皆さまが、株主総会における報告事項および決議事項について事前に十分検討いただけるよう、当社WEBサイト等において株主総会資料を法定期日前に開示するとともに、早期発送に努めています。また、株主総会資料の情報開示の充実に努めています。
さらに、書面に加えてインターネットによる議決権の行使を可能としているほか、国内外の機関投資家向けの議決権電子行使プラットフォームにも参加しています。株主総会では、映像やナレーションを用いて議事の内容を分かりやすく説明しているほか、各決議事項に対する議決権の行使結果を、株主総会終了後当社WEBサイト等で公表しています。2021年6月24日開催の第96回定時株主総会から、株主の皆さまの利便性向上のため、ハイブリッド参加型バーチャル株主総会(ライブ配信)を実施しています。ライブ配信した株主総会の動画は当社WEBサイトに一定期間掲載しています。
2023年度は、決算説明会(四半期ごと)、経営説明会、事業戦略説明会、サステナビリティ説明会、ものづくり・DX説明会を開催しました。各説明会では、決算内容、経営方針、サステナビリティ、R&D等への取り組みについて説明を行った後に質疑の時間を設けることで、参加者とのコミュニケーションの強化を図りました。なお、参加者からいただいたご意見については、毎月経営陣向けに発行しているIRレポートを通してタイムリーにフィードバックするとともに、説明会での説明や質疑の内容については、個人投資家の皆さまにもご覧いただけるように、当社Webサイトに議事録を掲載しました。
また、機関投資家・証券アナリストの皆さまとは、個別ミーティングおよび社長・CFO・社外取締役とのスモールミーティング等を通じて、活発な意見交換を行いました。一方、個人投資家の皆さまとは、個人投資家説明会への参加や株主通信「まてりある通信」の発行およびWEBサイトへの掲載を通じてコミュニケーションを図りました。
今後もステークホルダーの皆さまとの対話を深化させ、情報公開の維持・向上を図り、積極的なIR・SR活動を展開していきます。
項 目 | 2023年度実績回数 |
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決算説明会(四半期決算ごと) | 4回 |
経営説明会 | 1回 |
事業戦略説明会 | 1回 |
サステナビリティ説明会 | 1回 |
ものづくり・DX説明会 | 1件 |
IR・SR個別ミーティング | 164件 |
海外IR | 13回 |
証券会社主催 個人投資家説明会 | 2回 |
当社はユニオンショップ制のもと、労働者の基本的な権利である、団体交渉権および結社の自由を尊重し、良好な労使関係の維持に努めるとともに、労使間で定期的な情報共有、意見交換を行っています。特に、三菱マテリアル労働組合総連合会との間で年2回開催する労使経営協議会では、各事業の最新の課題、戦略、方針等を踏まえ、活発な議論を交わすことで結束を高め、会社の持続的な成長に向けた方向性の共有を図っています。
また、施策提案等に際しても十分な時間を設け、丁寧に説明し、協議を行っています。なお、現在の組合員数は、単体の直接雇用者(出向者含む)で4,064名であり、さらに、三菱マテリアル労働組合総連合会に加盟するグループ会社の労働組合の組合員を含めると6,328名となっています。(2024年4月現在)
項 目 | 人 員 |
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単 体 | 4,064名 |
グループ含む | 6,328名 |
当社グループでは、自由闊達なコミュニケーションができる健全で風通しの良い組織を目指し、さまざまなコミュニケーション施策を実施しています。2021年度からはインナーブランディングをスタートし、従業員一人ひとりが当社グループの「私たちの目指す姿」の自分ごと化することを目的に、①経営層とのコミュニケーション、②従業員一人ひとり、グループ全体がヨコでつながる、③一人ひとりのチャレンジを支援する方向性で、施策を展開しています。
2022年度より、当社単体の全従業員にスマートフォンの貸与を始めました。これにより、従業員にタイムリーに情報を届けたり、従業員同士がチャットでコミュニケーションを取れるようになったりするなど、社内コミュニケーションの活性化に寄与しています。同時に、DXの推進、業務効率化の面での活用も進めています。
2023年度は、「私たちの目指す姿」の認知を活動の主軸とし、既存の施策の枠組みを活かしながら取り組みを進めてきました。
施策名 | 内 容 |
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アンバサダー活動 | 当社グループ全体から公募で集まった、インナーブランディング活動の推進メンバーをアンバサダーとして任命し、2021年度から活動しています。 |
千思万考 ON AIR | 社長自身がパーソナリティーとなって、グループ従業員からのさまざまな質問に答えるラジオ形式の音声配信「千思万考ON AIR」を2021年度より定期的に実施しています。 |
半日職場体験 | 従業員がほかの職場の仕事を半日間体験できる「半日職場体験」を実施しています。2021年度から開始し、約70名が参加しました。 |
リバースメンタリング | 若手従業員がメンターとなり、メンティーである経営層に対してメンタリングを行う仕組みです。業務と異なる立場でさまざまなテーマで議論することにより、互いに気づきを得る機会となっています。 |
タウンホールミーティング | 経営情報の伝達強化、双方向対話を目的として、タウンホールミーティングを開催しています。2023年度は、6つのテーマで合計42回開催しました。 |
「私たちの目指す姿」の認知・浸透のために、「私たちの目指す姿」を視覚的に表現するキービジュアルを策定しました。金属資源が途切れることなく力強く循環し、さらなる価値を付加しながら成長していく様子を円形のデザインで表しました。金属を想起させるテクスチャーによって、当社ならではの循環のあり方を表現しています。本キービジュアルを、社内ポスターや各種テンプレート等に幅広く展開しています。
従業員一人ひとりが「私たちの目指す姿」実現のために、自身がどのような役割を担っているかを確認するためのコミュニケーションツールとして「循環マップ」を展開しています。役員の期初メッセージや社内イベント等、さまざまな場面で活用され、「私たちの目指す姿」の自分ごと化を促進しています。
経営層と従業員の距離を縮め、自由闊達なコミュニケーションができる健全で風通しの良い組織づくりを目的とし、経営層がグループ各拠点に訪問し、従業員と対話集会の機会を設けています。2023年度は、中経2030を題材に意見交換を行い、合計51拠点で、77回開催しました。従業員からは、「私たちの目指す姿」の実現に向けた事業戦略に関する質問から日々の困り事などまで幅広い質問があり、活発な意見が交わされました。
2023年度は、これまでの各施策を継続するとともに、一部に「私たちの目指す姿」のディスカッションを取り入れるなど施策の枠組みを活かしながら、組織風土の活性化と目指す姿の認知の両面から戦略的かつ複合的にアプローチし、活動を深化させています。