Strengthening response to SCQ issues SCQ課題への対応強化

コンプライアンスの徹底

コンプライアンスの徹底

コンプライアンスの徹底に向けて

企業が持続的に発展していくために、「コンプライアンス」はその土台となる重要な部分です。当社グループでは、「行動規範」のもと倫理的な企業文化や組織風土の醸成のため、「コンプライアンス」意識の浸透・定着のための取り組みを実行しています。なお、「行動規範」は取締役会が監督しており、制定および改定についても取締役会にて決議し決定するものとしています。

  • ※ 当社の「行動規範」はこちらをご確認ください。

コンプライアンス意識の浸透・定着

当社グループでは、コンプライアンスを法令遵守はもとより企業倫理や社会規範を含む広い概念として捉え、ステークホルダーの皆さまの期待に誠実に応えていくことを考えています。
当社グループ全体のコンプライアンス体制強化に向け、国内外での研修等、さまざまな施策を通じ、グループの従業員一人ひとりのコンプライアンス意識を向上させる取り組みを継続しています。意識の浸透と定着を目指し、これらの取り組みを継続していきます。
また、当社グループ内で発生したコンプライアンス違反(法令違反に留まらず、企業理念・行動規範や社内規定違反(そのおそれがある場合を含む))に関する情報を、的確かつ迅速に集約・共有することにより、違反案件への適切な対応やリスクマネジメント活動および教育・研修等への反映を通じた再発防止につなげていくことにしています。
執行役であるCSuO(Chief Sustainability Officer)がコンプライアンスを統括しており、CSuOの監督のもと、行動規範等の遵守を図っています。また、行動規範等の遵守状況を含むコンプライアンスの状況等については、定期的に取締役会に報告しています。

コンプライアンス意識の向上に向けたさまざまな取り組み

当社グループでは、2006年から毎年10月を「三菱マテリアルグループ企業倫理月間」と定め、社長メッセージを社内イントラネットで配信しているほか、各事業所、グループ各社が独自の活動を展開しています。
企業理念、ビジョン、ミッション、価値観、行動規範および私たちの目指す姿を当社グループの従業員に浸透させるため、携帯用カードおよび従業員ハンドブック(基本編)を19言語で作成し、世界各国の従業員と共有しています。携帯用カードは世界各国の拠点に配布するとともに、社内イントラネットに掲載しています。また、従業員ハンドブック(基本編)は社内イントラネットに掲載し、研修や教育に利用しています。さらに、国内向けには、従業員ハンドブック-ケーススタディ編-を作成し、社内イントラネットに掲載し、国内のグループ会社が教育活動に利用しています。「行動規範」の理解を深めるため、身近に起こりうる事例を用いて解説したもので、強制労働の禁止、パワーハラスメント、セクシャルハラスメント、労働安全衛生・健康管理、品質管理、横領や贈賄をはじめとした腐敗防止、独占禁止法・下請法・外為法等の法令遵守等の事例を網羅した内容となっています。特にハラスメントについては、当社において「ハラスメント防止指針」を定めているほか、全従業員を対象とした研修動画や、『各職場のコンプライアンスの活動推進を担う管理者向けのオンライン研修』においてハラスメント防止をテーマのひとつとして取り上げ、啓発に取り組んでいます。加えて、ハラスメント案件を含む内部通報関連の業務に従事する者を対象とした研修も実施しています。
SCQDEについては、研修や教育、ポスター、携帯用カードを通して、浸透に努めています。
また、当社グループでは、自由闊達なコミュニケーションができる組織風土を構築し、風通しの良い組織を目指すことがガバナンス強化につながり、コンプライアンス違反の防止となることを認識しています。そのため、タウンホールミーティング(対話集会)の開催や研修等を通じ、コミュニケーションの深化を図っています。
さらに、コンプライアンスに関する小集団活動により、従業員一人ひとりが健全な危機感を持ち、自分の問題として考え、意見を交換することでコンプライアンス意識の醸成および職場内コミュニケーションの向上に取り組んでいます。

コンプライアンス教育の拡充・再徹底

コンプライアンスに関する教育や研修を、外部講師やeラーニングも活用し、国内外の当社グループ従業員に行っています。
国内グループ各社の全従業員が、年に1回コンプライアンス研修を受講できる体制を整えており、2020年度からはオンラインでの受講を推進しています。テーマについては、コンプライアンス全般に関する内容のほか、独占禁止法、ハラスメント、贈賄等の腐敗防止等が含まれており、2023年度は「コンプライアンス違反事例の自分ごと化」、「内部通報窓口の安全性」、「自由闊達なコミュニケーションができる職場づくり」をテーマに実施し、「ハラスメント」、「情報セキュリティ」、「独占禁止法」についても触れています。また、階層別研修等を定期的に実施しています。
海外でのコンプライアンスに関する教育・研修は、世界各地域の事情も考慮しながら研修内容を検討しています。また、多言語での研修動画の展開に加え、コミュニケーションに重点を置いた対話型の研修により、幅広い地域での研修を効率良く実施しています。
2018年度より、当社経営幹部と外部弁護士を講師として、国内のグループ会社役員に対し、役員ガバナンス研修を実施しています。研修では、ガバナンスとコンプライアンスについて経営者が果たすべき義務・役割を理解し、それらを全うするための意識の醸成・手段の習得を目指しています。また、2021年度より、海外向けの研修も開始し、当社経営幹部に加え海外情勢に精通した外部専門家を講師に招き、研修を実施しています。
また、全従業員を対象としたコンプライアンス意識調査を2018年度より継続して年1回行い、その結果を分析することで各種取り組みの効果測定・推進に役立てています。

2023年度教育・研修受講者数(単体およびグループ会社74社)

  受講者数
(のべ人数)※1
国内事業所・支店、グループ会社コンプライアンス教育 25,901名
海外グループ会社コンプライアンス教育 1,123名
階層別教育※2 8,863名
合 計 49,547名
  • ※1 上記の教育・研修受講者数は、正社員および非正規雇用を対象に算出しています。
  • ※2 階層別研修にはコンプライアンス以外の教育・研修の内容を含んでいます。

腐敗防止

当社グループは、行動規範において、贈答や接待の授受を含むあらゆる腐敗行為を禁じ、社会通念上適正な内容、頻度、金額とすること、政治活動や政治献金は、常に公明正大な手段で行い、政治や行政との間に健全で正常な関係を保つように努め、全ての腐敗行為を許さないことを定めています。
当社および国内のグループ会社に関しては、2022年4月に「三菱マテリアルグループ交際費管理規定」を制定し、接待・贈答等は、社会通念に照らしたうえで、常に適正な内容、頻度および金額に留めなければならないこととしています。
また、持続可能な開発における世界的な課題である腐敗防止の重要性に鑑み、グローバルな事業活動全体における贈賄防止のため、当社においては2018年4月に「外国公務員等贈賄防止規定」を制定しました。同規定においては、直接またはエージェント(取引を代理または仲介する第三者)等を通じて、外国公務員等に対し、贈賄を行ってはならないことにしています。また、エージェント等の起用に際しては、社内ガイドラインに従って、当社の贈賄防止体制について説明を行うこと、当該エージェント等の評判や報酬の合理性、政府との関係性に関する事前確認等の適切な審査を行わなければならないこととしています。さらに、同ガイドラインにおいて、エージェント等の起用時には、関係する国や地域の贈賄防止関連法令を遵守することや、贈賄防止関連法令違反の場合(そのおそれがある場合を含む)に直ちに契約を解除できること等を定めた契約書を締結しなければならないことにしています。国内および海外のグループ会社においても、同様の外国公務員等への贈賄を防止する体制を整備することにしています。
加えて、執行役社長やCSuOから、コンプライアンスの重要性について定期的にメッセージを発信しているほか、グループ会社に対する贈賄防止体制の運用に必要な支援や社内研修等を行っています。
贈賄等の腐敗行為を含むコンプライアンスについては、執行役社長が本部長を務めるSCQ推進本部において取り組みを積極的に進めています。下部組織として専門分野ごとに部会を設け、年度方針や活動計画を審議し、各分野に関係する具体的な施策等について同本部においてフォローアップを行い、その活動状況については、毎月、戦略経営会議および取締役会に報告しています。また、リスクマネジメント活動においては、贈収賄のみならずあらゆるリスクを想定したマネジメントを全社的に実施していますが、定期的なモニタリング上では、贈収賄に関わるリスクは低いと判断しています。

内部通報制度

当社および主に国内グループ会社の役員および従業員(嘱託、契約社員、パート、アルバイト、派遣労働者、退職から1年以内の者を含む)並びに当社グループの事業場内作業を請け負う事業者の従業員からの通報・相談を受け付けるために、2002年12月より内部通報制度を運用しています。ハラスメントを含む人権に関する懸念や法令違反、社内規定違反、横領や利益相反・贈収賄等の腐敗行為を含む企業倫理上の問題を対象事案としており、2020年1月からは、通報・相談窓口である「三菱マテリアルグループ内部通報・社員相談窓口」の運営を外部専門業者に委託するとともに、グループ各社の対応体制を整備しました。これにより、通報・相談への適切な対応能力の強化と信頼性の向上に努めています。また、2018年6月には、不祥事の早期発見・是正措置を監査委員の業務として行うことに資するため、「監査委員への相談窓口」を設置し、運用しています。
これらの内部通報窓口は、当社グループの従業員に配布している携帯用カードへの記載や、社内イントラネット、各種研修等を通じて当社国内グループ全従業員に周知しています。
2021年4月1日に、三菱マテリアルグループグローバル内部通報窓口「MMC GROUP GLOBAL HOTLINE」を開設し、運用しています。この窓口は、日本国外に所在するグループ会社・海外拠点等(一部例外を除く)を対象としており、競争法違反、贈収賄等の腐敗行為、会計不正、不正取引・不正行為に関する行為が通報対象となっており、匿名での通報も受け付けています。グローバル内部通報窓口については、対象となる海外の対象会社・拠点ごとに周知しているほか、海外での研修時に取り上げて説明しています。2023年度の件数は4件でした。
「三菱マテリアルグループ内部通報・社員相談窓口」は、通報の際は記名・無記名を問わず匿名性を担保しているほか、通報内容は公益通報者保護法に基づく「三菱マテリアルグループ内部通報規定」およびグループ各社の「内部通報規定」により、通報者保護と処理を適切に行い、報告者のプライバシーを守り、人事上の取り扱いでも不利益は一切生じない仕組みとしています。
また、2023年度は、国内内部通報制度の信頼性向上策として、イントラネットを活用した周知活動、研修による啓発活動などを実施しました。今後も引き続き、内部通報制度の信頼性向上に努めていきます。
また、当社WEBサイトにおいて、「コンプライアンス・人権」等に関する問い合わせフォームを設置しています。社外のステークホルダーの方々が当社に連絡できる仕組みとしており、匿名での連絡も可能となっています。

三菱マテリアルグループ内部通報・社員相談窓口の対応フロー

三菱マテリアルグループ内部通報・社員相談窓口の対応フロー

「三菱マテリアルグループ内部通報・社員相談窓口」への相談件数推移[年度]

2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 20222023
33件 38件 42件 61件 58件 54件 47件 65件 63件

独占禁止法遵守体制再構築のための施策

2019年9月、当時は当社のグループ会社であったユニバーサル製缶(株)が、公正取引委員会から独占禁止法違反(カルテル)により排除措置命令および課徴金納付命令を受けました。これを受け2019年11月以降、当社グループは独占禁止法遵守体制再構築のための各種施策に取り組んでいます。また、2022年度は海外競争法遵守体制の整備に取り組みました。

  • 独占禁止法(海外競争法)遵守規定の当社およびグループ会社での制定
  • 独占禁止法遵守に関するトップメッセージの継続的発信
  • 当社グループの行動規範において独占禁止法遵守を明確化
  • 当社および子会社における懲戒に関する規定等の見直し
  • 当社および子会社における自主確認および各事業の独占禁止法抵触リスク評価の実施
  • 各事業所でのリスクマネジメント活動における評価に応じた対策の実施
  • 独占禁止法教育の継続・拡充
  • 独占禁止法に関する内部監査の見直し
  • 入札談合、競合事業者との取引に関する対策強化

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知的財産マネジメント

当社グループでは、事業戦略・開発戦略に沿った知財・無形資産ポートフォリオの形成、知的財産に関するリスクマネジメントおよび係争対応並びにグループの知財ガバナンス水準の向上を図る活動をしています。

ガバナンス

知的財産を含む無形資産の重要性が高まる中、コーポレートガバナンス・コードに対応して知的財産に関するガバナンス体制を強化し、戦略経営会議・取締役会への定期的な報告・審議によるガバナンス体制を強化するとともに、「戦略対話」等の知的財産活動の取り組みを積極的に外部に開示しています。また、グループ全体での知的財産・無形資産価値の最大化を図る観点から、グループとしての知的財産活動の方向性を示した「グループ知的財産基本方針」を2022年5月に制定しました。また、2023年2月に、グループ知的財産基本方針に基づき、グループ会社の知的財産に関する活動をより具体的に規定する「グループ知的財産規定」を制定しました。

図

グループ知的財産基本方針

2022年5月1日制定
2023年4月1日一部改定

私たちは、知的財産活動を通じて、「人と社会と地球のために、循環をデザインし、持続可能な社会を実現する」ことに貢献します。

  1. 事業戦略および開発戦略に沿って知的財産権を戦略的に形成し、国内および海外において適正な保護を図り、事業活動のために効果的に活用します。
  2. 第三者の知的財産権を尊重し、侵害予防の体制を構築します。
  3. 発明、イノベーションを奨励し、発明者等への適正な報奨制度を整備します。
  4. ブランドを育成し、保護することによって、ステークホルダーからの信用・信頼の獲得に取り組みます。
  5. グローバルに流通する模倣品の取締を強化し、その対策を確実に実施します。
  6. 知的財産情報を戦略的に活用する人材を育成し、そのための教育制度および環境を整えます。

グループ知的財産規定

2023年2月1日制定

グループ知的財産規定では、各社の執行役・取締役への報告および指導・監督、戦略的知財形成・分析・活用、グループ会社間のライセンス、委託研究・共同研究、ブランドの育成、三菱商標、模倣品対策、侵害クリアランス対応、発明報奨、人材育成について、グループ会社の活動を具体的に規定しています。

戦略対話、知財形成

当社では、事業部門および開発部門(新規事業部門)と知的財産部門との間で戦略対話を推進し、戦略的な知財形成を目指しています。
そのため、特許俯瞰図などの各種ツールを用いて当社をとりまく市場・顧客ニーズのトレンドを知的財産の観点より分析し、その分析情報を基に、事業戦略・研究開発戦略と連携した知的財産戦略の構築を進めていきます。

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知的資本としての知財

知財ミックス

事業戦略・開発戦略に沿った知財ミックス(特許、意匠、商標・ブランド、営業秘密およびノウハウ等)を戦略的に形成し、無形資産の価値と効用を最大化する知財活動を展開しています。

件数データ(2024年3月31日現在)

特許出願 国内 199
海外 69
保有特許 国内 2,060
海外 2,604
保有意匠権 国内 80
海外 21
保有商標権 国内 341
海外 162
  • ※ 出願件数は2023年4月から2024年3月まで。
  • ※ 海外特許出願件数はファミリー数(PCT含む)。

報奨制度

社員発明規定を設けて、特許・実用新案・意匠の出願時および登録時に相当の報奨を発明者に実施しています。また、特許・実用新案・意匠を実施することにより一定の利益が得られた場合には、発明者に実績報奨を実施しています。
2023年9月、当社グループとしての報奨、公平な評価、インセンティブの充実を図るため、社員発明規定を改定しました。

技術契約リスク対応

秘密保持契約・共同開発契約・出願契約等の技術契約に関する専用データベースを構築・運用し、秘密情報の漏えい防止、契約期間管理、契約内容の検討支援を行う等、当社の研究、開発、事業等の各分野で知的財産案件と連携した知財契約に対するアドバイスを行っています。

知的財産教育

グループ社員に対して、知財リテラシーの向上と、事業活動における知財情報の活用と有効な知財形成のための教育を実施しています。正規・非正規社員を問わず、広く一般的な知財に関する知識の習得を目的とした階層別研修に加え、選抜型教育として専門的・戦略的な知財活用を目的とした実践型の研修を実施しています。

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模倣品の対策強化

海外を起点とする切削工具の模倣品に対する対策として、現地の実店舗で販売活動を行う違法業者を多数摘発してきました。また、2020年度からは、世界各国のオンライン販売サイトの監視と取り締りを強化しています。これまでに約1.5万件の模倣品販売サイトを削除しました。今後も、模倣品の実店舗販売の摘発および模倣品のオンライン販売サイトの監視を継続し、模倣品の根絶に取り組んでいきます。

三菱マテリアルグループでの活動

これらの「ガバナンス」「戦略対話・知財形成」「技術契約リスク対応」「知的財産教育」および「模倣品の対策強化」は、重要な取り組みと考えています。「グループ知的財産規定」に基づきながら、これら機能を有機的に連携させ、グループ全体の知財ガバナンス水準の維持向上を図るとともに、知財リスクの低減とグループ事業価値の最大化に貢献していきます。

三菱マテリアル株式会社