活動テーマ | 2023年度の活動実績 | 自己 評価 |
2024年度以降の活動目標・予定 |
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自己評価 A:目標達成 B:概ね目標達成 C:目標未達成
当社グループは、「私たちは、安全と健康をすべてに優先します」を行動規範のひとつとしています。これは、従業員および私たちをとりまく全てのステークホルダーの安全と健康なくしては、彼らとその家族の安定した生活や幸福が実現されず、順調な操業ができず、ひいてはグループの持続的な発展もあり得ないという考えに基づいています。
2014年11月10日制定
さらに、2018年より、業務遂行における判断の指針(優先順位)として定めた「SCQDE」においても、「S」(Safety & Health)を最優先事項と位置付けています。
1 | SSafety & Health |
安全・健康最優先 |
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2 | CCompliance & Environment |
法令遵守、公正な活動、環境保全 |
3 | QQuality |
『顧客』に提供する製品・サービス等の品質 |
4 | DDelivery |
納期厳守 |
5 | EEarnings |
適正利益 (SCQDを満たした上で、『顧客』の信頼に基づき得られたもの) |
「SCQDE」は私たちが業務を行ううえでの判断の優先順位を示したものです。私たちが『顧客』に製品・サービス等を提供する際には、まずSCQを徹底し、そのうえでDを満たさなければなりません。これらの原則を誠実に実行し続けることが『顧客』や社会からの信頼につながり、これによって産み出されたものが、適正な利益であると考えます。
2014 年1月に四日市工場(2023年3月31日に(株)SUMCOへ譲渡)で発生した爆発火災事故を受け、同年4月より「ゼロ災プロジェクト」を開始しました。この「ゼロ災プロジェクト」では「休業4日以上の重篤な災害の発生ゼロを1年間継続すること」を目標に、当社グループの安全衛生基盤を強化するための取り組みを行っています。
ゼロ災プロジェクトは、執行役社長を本部長とした「SCQ推進本部」のもとに置かれた専門部会「ゼロ災推進部会」が主導しています。
「ゼロ災推進部会」は、各部門の安全担当者による委員で構成され、労働災害の発生状況等を分析し、当社グループが重点的に取り組むべき課題を抽出しています。これらの課題は、安全を担当するSCQ担当執行役やカンパニー等の代表者からなる会社側委員とカンパニー等が所管する拠点を代表する労働組合側委員で構成される「ゼロ災労使連絡会」との意見交換を経て、安全衛生管理重点実施事項を定めています。これらの重点実施事項等のゼロ災プロジェクトの具体的施策は、執行役が参加する戦略経営会議で審議・承認を経て実行に移されます。本社安全環境品質室を中心に、各カンパニー等の安全担当者で構成される月次ミーティングで各施策の進捗状況が報告され、グループ会社も含めた所管拠点における安全衛生活動の進捗や問題点等についての情報共有や解決策の協議等を行っています。各施策の進捗状況は定期的に各カンパニープレジデントが参加する「SCQ推進本部」でも報告しています。さらに、労働災害・火災爆発等事故の発生状況および重大事案の対策等についてはSCQ推進担当執行役より戦略経営会議および取締役会に報告され、適切にモニタリングされています。
また、カンパニー等の枠組みを超えた事項については、前述の「ゼロ災推進部会」において報告や協議等を行い、当社グループ一体となった推進体制を構築し、拠点の状況に即したPDCAサイクルによる改善を図っています。
各拠点では、労働安全衛生マネジメントシステムを運用し、会社側と労働組合側の委員からなる安全衛生委員会を開催しています。この委員会では、労働者の危険に関する対策、労働災害などの重要事項についての原因究明や再発防止、健康障害の防止および健康保持に関する対策を行っています。また、安全責任者、安全担当者および安全指導員を配置し、安全活動の推進役として活動しています。
当社グループ全体では、安全責任者会議、安全担当者・安全指導員会議を定期的に開催し、幅広い業種を抱える当社グループ内での多様な災害情報や安全衛生活動に関する情報交換を行い、安全衛生水準の向上に取り組んでいます。
当社グループは、労使一体となってゼロ災への取り組みを展開するため、前年の労働災害等から課題を抽出し、その解決に特に取り組むべき項目を、労使協議のうえ「管理重点実施事項」として定めています。2023年の管理重点実施事項は以下であり、これらの事項を中心に各事業所で労働安全衛生マネジメントシステムを展開しました。
「機械電気」型および設備に起因する「取り扱い物質」型の重篤な労働災害は長期的に減少傾向にありますが、まだ低減できていない残留リスクがあり、認知されていない危険源による事故も発生しています。そのため、2020年度以降継続して、リスクアセスメントの妥当性を検証のうえ見直しを行い、以下の内容を実施しています。
当社グループの労働災害分析によると、労働災害の主な原因は防護措置や安全措置の欠陥に起因するものや危険場所への接近に起因するもの等が多くあります。これらの問題に対処するため、ハード面での対策として、フールプルーフ※1やフェールセーフ※2の観点から構造や仕組みを見直し、リスクアセスメントに基づいて工学的な対策を徹底しています。また、不適切な工具や治具の使用、作業手順の誤りといった作業方法の欠陥による労働災害については、作業方法の検証や、KY(危険予知)に基づいたフィードバックを通じて作業手順を改善するなど、リスクアセスメントの結果を踏まえた改善策を実施しています。
リスクアセスメントは、製造現場の作業やその他業務に起因する危険性や有害性を特定し、これらを除去または低減するために有用な手法です。当社グループでは、各拠点の製造現場において作業者目線でのリスクアセスメント活動を展開し、設備の不安全状態の発見能力を向上させるために、各拠点でリスクアセスメント指導員を養成しています。2015年10月からは養成講習を開始し、2020年3月までに520名以上の受講者がいるなど、現場の活動強化・活性化に貢献しています(2020年4月以降は新型コロナウイルス感染症の影響で開催できませんでした)。さらに、2020年8月からは第一線監督者を中心にリモート形式でリスクアセスメント講習会を開催し、リスクアセスメント実施者のスキル向上を図っています。2023年度は49名が受講し、累計受講者数は634名となりました。
当社および主要グループ会社35社における2023年の労働災害罹災者数は、不休業災害を含めて90名であり、このうち24名が休業を伴う災害でした。当社単体では、過去10年で罹災者数は減少傾向にありましたが、最近では横ばいの状態となっています。(2020年には4月の旧三菱伸銅(株)の合併により2拠点が増えています。また、2022年以降はセメント事業およびアルミ事業、2023年は四日市工場が事業再編によりグループ外となっています)。
目標である「休業4日以上災害無災害継続日数365日」についての実績は82日であり、目標未達となりました。
2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | |
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無災害継続日数 | 91 | 41 | 135 | 82 |
2023年には設備への挟まれ・巻き込まれによる重篤な災害が発生しました。設備の安全措置の再確認の実施や作業時の「手を出さなければならないときには必ず電源を切る」、「回転物には手を出さない」ことの徹底について注意喚起を改めて実施しています。
当社の労働災害の発⽣状況を評価する災害度数率(100万のべ実労働時間当たりの死傷者数(休業者数):LTIFR(Lost-Time Injury Frequency Rate))は0.85となり、2023年製造業平均値1.29、非鉄金属産業平均値0.91(厚生労働省統計データより)に⽐べて低くなりました。不休業災害を含めた災害度数率(100万のべ実労働時間当たりの不休業災害を含んだ死傷者数:TRIFR(Total Recordable Injury Frequency Rate))は2.88となりました。
2024年もリスクアセスメントによる設備安全化を徹底し、さらなる災害防⽌策を取り入れ、ゼロ災達成に向けた取り組みを推進しています。
2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | ||
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社内(在籍) | 死亡 | 0 | 0 | 0 | 0 |
休業 | 7 | 2 | 4 | 9 | |
不休業 | 17 | 18 | 22 | 21 | |
社内(派遣社員等) | 死亡 | 0 | 0 | 0 | 0 |
休業 | 0 | 1 | 1 | 1 | |
不休業 | 4 | 3 | 3 | 3 | |
社内(協力会社) | 死亡 | 0 | 0 | 0 | 0 |
休業 | 4 | 10 | 2 | 4 | |
不休業 | 19 | 17 | 6 | 7 | |
グループ会社(協力会社含み) | 死亡 | 1 | 0 | 1 | 0 |
休業 | 13 | 27 | 9 | 10 | |
不休業 | 83 | 84 | 41 | 35 | |
合計 | 死亡 | 1 | 0 | 1 | 0 |
休業 | 24 | 40 | 16 | 24 | |
不休業 | 123 | 122 | 72 | 66 |
2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | ||
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単体 | LTIFR | 0.51 | 0.21 | 0.38 | ★0.85 |
TRIFR | 2.03 | 1.68 | 2.30 | ★2.88 | |
協力会社 | LTIFR | 0.85 | 2.27 | 0.66 | ★0.98 |
TRIFR | 4.92 | 6.12 | 2.62 | ★2.70 |
当社における2023年の火災爆発等事故の発生件数は5件で、収束まで一定の時間を要した火災が1件発生しましたが、それ以外の4件はいずれも被害や影響の大きさの尺度となる当社方式事故評価基準では1ポイント以下の事故でした。なお、爆発事故の発生はありませんでした。また、CCPS(The Center for Chemical Process Safety)の定義に基づく、Tier1のPSE(process safety events)の発生件数は、100万時間当たり0件★でした。※
また、発生件数総数では2022年の15件の半減以下となりましたが、引き続き、事故情報の社内共有等による類似事故発生予防に重点をおいた取り組みを推進していきます。
2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | |||||
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事故件数 | 評価点 | 事故件数 | 評価点 | 事故件数 | 評価点 | 事故件数 | 評価点 | |
火災 | 6 件 | 5.1点 | 10 件 | 18.3 点 | 13 件 | 35.1 点 | 3 件 | 3.9 点 |
爆発 | 0 件 | 0.0 点 | 0 件 | 0.0 点 | 0 件 | 0.0 点 | 0 件 | 0.0 点 |
漏えい等 | 1 件 | 0.3 点 | 6 件 | 1.8 点 | 2 件 | 0.6 点 | 2 件 | 0.6 点 |
計 | 7 件 | 5.4 点 | 16 件 | 20.1 点 | 15 件 | 35.7 点 | 5 件 | 4.5 点 |
強度レベル (ポイント) |
評価項目 | |||
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人的被害 | 物的被害 | 漏えい・流出影響 (高圧ガスの漏えい・ 危険物の流出) |
火災の収束時間 (発災から鎮圧までの時間) |
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Ⅴ(27) | 複数死亡 | 事業所外に物的被害 | 河川等事業所外へ広範囲に影響 | 4時間以上 |
Ⅳ( 9) | 1名死亡または複数休業 | 事業所内隣接施設に物的被害 | 事業所外周辺に影響 | 2時間~4時間 |
Ⅲ( 3) | 休業 | 発災設備建屋の焼損、損壊 | 事業所内の隣接施設に影響 | 1時間~2時間 |
Ⅱ( 1) | 不休業 | 発災設備の焼損、損壊または 発災設備建屋の一部に軽微被害 |
発災設備建屋内または 防液堤等防護施設内のみの 漏えい・流出 |
30分~1時間 |
Ⅰ(0.3) | レベルⅡ未満 (微傷災害) |
レベルⅡ未満 (発災設備の一部に軽微被害) |
レベルⅡ未満 (微小な漏えい・流出) |
30分未満 |
危険感受性の向上には自ら危険を体感することが重要と考え、2017年3月、「安全衛生教育センター(緑館)」を開設し、運用を開始しました。同センターには、作業現場の実態や日常作業に潜む危険を考慮した50種の危険体感設備があり、専門のインストラクターによる危険体感教育や専用の講習室を利用して労働安全衛生に必要な専門教育も定期的に開催しています。2023年度は、危険体感教育を約340名が受講し、専門教育は約240名が修了しました(同センター開設以来、グループ会社従業員を含めて約4,600名が危険体感教育を受講し、2024年3月までに、約1,390名が専門教育を修了しました)。
2018年5月から、安全衛生教育センターでは、危険体感教育の一環としてVR(Virtual Reality)を導入しています。従来の危険体感設備では難しかった疑似体験が可能となり、360度の視野や触覚技術を活用して臨場感や没入感を高めています、VRを用いることで、例えば、墜落前・中・後の状態などの危険な状況を最後まで体感することができるようにし、危険感受性の向上に役立てています。また、装置は運搬可能なため、当社グループの各事業所でも危険体感教育を実施しています。2019年には2号機、3号機を導入のうえ、メニューを5つ追加し、2021年には4つの新しいメニューを追加しました。また、対象とする事業所もグループ会社まで拡大し、危険感受性の向上に一層取り組んでいます。
安全管理の向上を促すために、当社グループでは優れた成績を挙げた事業場を表彰しています。表彰の対象は、当社単体の事業所、製造業・建設業の国内連結子会社および一部の国内非連結子会社です。無休業災害期間(社内従業員および協力会社で休業災害以上の発生していない期間)が表彰基準年に達するごとに表彰し、表彰の種類は次の3種類です。
(1)安全優良賞(表彰基準年を達成した事業所)
(2)安全優秀賞(表彰基準年の2倍を達成した事業所)
(3)安全大賞 (表彰基準年の3倍以上を達成した事業所)
業種によってリスクの大きさが異なることから、事業形態や事業場ごとに表彰基準年を設定し、以下のグループに分類しています。
高機能製品カンパニー | (株)後藤製作所(14年連続無災害) |
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高機能製品カンパニー | 三菱電線工業(株)尼崎事業所(6年連続無休業災害) |
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加工事業カンパニー | 日本新金属(株)(4年連続無休業災害) |
対象事業場なし |
金属事業カンパニー | マテリアルエコリファイン(株)(8年連続無休業災害) |
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高機能製品カンパニー | セラミックス工場(18年連続無休業災害) |
経営戦略室 | (株)メンテナンステクノ(10年連続無休業災害) |
高機能製品カンパニー | (株)玉川製作所(4年連続無休業災害) |
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対象事業場なし |
過去の災害を分析した結果、当社グループの事業所においてリスクの抽出に課題があることが判明しました。そのため、外部コンサルタントを活用して安全衛生の指導を実施しています。従来、抽出できていなかったリスクを外部専門家の視点で洗い出し、適切な低減措置を講じることにより、各事業所の安全水準の向上、従業員の危険感受性の向上にもつなげています。
安全環境品質部では、安全衛生、防災保安および環境管理に関する情報の配信・集約・閲覧を目的に、2017年2月から社内ポータルサイトを運用しています。当該サイトでは、これまでアクセスが限られていた安全成績や安全年表、災害事例、安全衛生教育資料、健康やメンタルヘルスに関する情報等を分類・整理し、広く公開しています。また、当社グループで発生した典型的な災害事例は映像化し、災害の状況・原因・対策、得られた教訓を分かりやすく解説しています。
2017年6月からは、当社グループで発生した災害事例をデータベース化し、上記の社内ポータルサイト内で公開しています。このデータベースでは、フリーキーワード全文検索機能や災害カレンダーの出力機能等を備えており、安全教育資料の作成や類似災害の発生防止対策等の参考として活用されています。また、各事業所が必要な情報を迅速かつ正確に入手できるように構成されており、安全基盤の強化と安全文化の醸成に貢献しています。
労働災害の防止に向け、当社グループの各事業所において実施されている効果的な取り組みを「安全衛生好事例集」として、2014年より毎年まとめています。グループ全体の安全衛生水準向上のための共有財産とするため、全国安全週間に合わせて公開され、社内ポータルサイトにおいて「安全コラム」として個別の事例を紹介しており、安全衛生に関する知識や取り組みを広く共有しています。
当社では、買収等を行うに場合は、買収候補先に対して行うデューデリジェンスの中で労働・安全に関する調査も行い、潜在的なリスクの評価を行うこととしています。
デューデリジェンスの中で、リスクの高い事象が発見された場合は、一定期間内でのリスク解消の要請や、最終契約の中でリスクの取り扱いを定めたり、リスク解消に至らない場やリスクの取り扱いに合意点を見いだせない場合は、契約を見送ることも検討します。