Environment Protection Technologies 森の守り人

森の守り人(2019年)

2019年

2019年1月

社有林内・樹木のご紹介 ④「アカエゾマツ」

社有林の樹種を紹介する第4弾(最終回)は「アカエゾマツ」です。

アカエゾマツはマツ科トウヒ属の常緑針葉樹で、漢字では「赤蝦夷松」と書きますが、近縁種のエゾマツとともに「北海道の木」として指定されています。アカエゾマツはその名の通り樹皮がやや赤みを帯びていることなどからエゾマツと見分けることができます。

アカエゾマツの木材は年輪幅が狭く均質で、針葉樹の中では強度が高いと言われており、とりわけ天然のアカエゾマツはピアノの響板(グランドピアノでは弦の下に張ってある板)や、バイオリンの表面板といった楽器材の用途として活用されています。また、アカエゾマツは成長がゆっくりで樹形が整っているものが多いという特徴から、庭木や盆栽等としても活用されています。

三菱マテリアルの森にもアカエゾマツの森があり、その個性が生きる活用をしています。2018年9月に発生した北海道胆振東部地震では、三菱マテリアルの森が所在する厚真町も甚大な被害を受けました。震災から初めての冬を迎えようとした頃、少しでも三菱マテリアルの森が地元の元気に繋がるような形で、お役に立てればと思い、同町所在の保育園2園に、このアカエゾマツを「クリスマスツリー」として寄贈しました。クリスマスツリーと言えばモミの木(マツ科モミ属)が一般的ですが、郷土の木であるアカエゾマツも適しており、園児たちの手によって装飾され、立派なクリスマスツリーとなりました。

クリスマスツリーとしての役目を終えたアカエゾマツは、春が来たら三菱マテリアルの森へ戻します。一部の木は、保育園や地元企業にて次のクリスマスまで大事に保管していただくことにもなりました。

これまで4回にわたり社有林の樹種を紹介してきました。ひと括りに「森」といっても、様々な個性のある樹木から成り立っている事をお伝えできたのではないかと思います。私たちは、こうした木々の多様性を大事にしながら、持続可能な範囲でそれらを有効活用し、三菱マテリアルの森が少しでも皆様の生活を豊かなものにできるよう努めてまいります。

アカエゾマツの苗木 アカエゾマツの苗木

寄贈した保育園でクリスマスツリーとして装飾されたアカエゾマツ 寄贈した保育園でクリスマスツリーとして装飾されたアカエゾマツ

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2019年4月

多様な広葉樹材を活用した新本社オフィス家具を製作!!

三菱マテリアルの森は多様な樹種で構成されていることを前回までの樹種紹介コーナーでお伝えしましたが、適切な森林整備をする中でそこから生まれる多様な特性を持った木材の有効活用についても日々考えています。

送電線への接近危険木として広葉樹を伐採することとなり、その最大限の有効活用を検討した結果、丸の内新本社オフィスの「繋がるオフィス」を象徴するようなフロアを繋ぐ中階段やテーブル家具として、また、三菱マテリアルの森を管理する森林グループが所属する札幌オフィスの執務デスクやテーブルとして活用することとしました。

家具にはミズナラ、ヤチダモなど計7樹種を使用し、樹種によって違う木目や色合いが醸し出す、やさしく落ち着いた空間となりました。それは多様性に満ちた森林がオフィスの中でも生き続けているような感覚の醸成や、社員のモチベーションや環境意識の向上にも繋がると期待しています。また、価値ある家具を将来にわたって大事に長く使うことで、CO2の長期固定にも貢献しています。

私たちは、当社社有林について社内外への情報発信を更に強化し、これからも木材の有効活用を考えながら、健全で美しい森づくりを目指していきます。

本社食堂ビッグテーブル(イタヤカエデ材) 本社食堂ビッグテーブル(イタヤカエデ材)

本社多目的テーブル(ヤチダモ材) 本社多目的テーブル(ヤチダモ材)

本社・中階段(ミズナラ材) 本社・中階段(ミズナラ材)

札幌オフィス執務デスク(ミズナラ他計6樹種) 札幌オフィス執務デスク(ミズナラ他計6樹種)

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2019年7月

社有林産木材を活用した木製小物

社有林産木材の有効活用事例として、前回のオフィス家具製作に引き続き、木製小物の製作についてご紹介いたします。

伐採した木は建築材や家具材等として用いる一方で、曲がったもの、長さや太さが足りないもの、あるいは製材時の端材などについても、可能な限り付加価値を高めて利用したいと考えており、木製小物の製作はその取り組みの一つです。

「三菱マテリアルの森」オリジナルの木製小物として、カラマツ間伐材を活用したポストカードフレームやスマートフォンスタンドを製作しています。また、広葉樹の端材を使用した卓上カレンダーも製作しています。これらは、植樹祭や育樹祭のイベントの記念品や、お客様への贈呈品等として活躍しています。

長い年月をかけて育った木から得られる貴重な木材。少しも無駄にせず、一番の有効活用は何かについて、これからも考えて参ります。

カラマツ間伐材を活用したポストカードフレーム

カラマツ間伐材を活用したスマホスタンド

カラマツ間伐材を活用したポストカードフレーム(左)とスマホスタンド(右)

オフィス家具製作時の広葉樹端材を活用した卓上カレンダー オフィス家具製作時の広葉樹端材を活用した卓上カレンダー

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2019年10月

スイス人を招きワークショップを開催

三菱マテリアルの森では、天然力(自然が本来持つ力)を活用した持続可能な森づくりを目指しております。スイスでは、1990年頃から多様な森づくりへの意識が高まり、天然力を最大限活用し、環境と経済の両立を目指す「近自然森づくり」が実践され、一定の成功を収めています。そのスイスから講師3名を北海道安平町に位置する早来山林に招聘し、7月31日~8月1日の2日間、当社職員等26名を対象としたワークショップを開講しました。

講師を務めていただいたのは、スイスで最も著名なフォレスター(森林管理者)のロルフ氏、森林作業員のフィリップ氏とシリル氏です(スイスではフォレスター、森林作業員ともに国家資格で憧れの職業だそうです)。

フォレスターのロルフ氏は地質や地形、植生等の状況から、生育地の特性を見極め、目の前の木や森が今後どのように推移するかを推測します。仮に、その木や森の姿が将来的な理想と合致するのなら「何もしない」。違うのであれば、その乖離を是正するための「最低限」の手入れを行う。つまり、可能な限り自然自身に森の仕事をしてもらう。これが「近自然森づくり」の根本です。また、森林作業員のフィリップ氏とシリル氏の抜群のコンビネーションによる伐採作業もとても鮮やかで、その技術の高さに一同感嘆しました。

ロルフ氏によればフォレスターが最も重要視すべきは「観察力」。私たちもまずは観察眼を徹底的に磨くことを肝に銘じ、将来にわたる確かな森づくりに取り組みます。

ロルフ氏による説明 ロルフ氏による説明

ワークショップの様子 ワークショップの様子

前列右からロルフ氏、フィリップ氏、シリル氏 前列右からロルフ氏、フィリップ氏、シリル氏

地図

三菱マテリアル株式会社